ICT施工とは?メリットや対象工種、
導入手順をわかりやすく解説

目次
この記事では、ICT施工の適用条件および必要書類を整理したい現場担当者向けに、国土交通省の実施要領の要点を解説します。
具体的な運用手順の確認へ進む前に、ICT施工の定義と目的を正確に把握することで、実務への落とし込みがよりスムーズになります。
国土交通省が推進するICT施工
ICT施工は、国土交通省が建設現場の深刻な担い手不足を解消し、建設現場の抜本的な生産性向上を目的として推進している施策です。定義と適用範囲を正確に押さえておくと、現場での判断がスムーズになります。
ICT施工の定義とi-Constructionにおける位置づけ
ICT施工とは、測量・設計・施工・検査・維持管理という建設生産プロセスの全段階でICT(情報通信技術)を全面的に活用する工事を指します。国土交通省はこの取り組みを「i-Construction(アイ・コンストラクション)」と名付け、2016年度から直轄土木工事へ本格導入しました。
出典:
ICT施工とは|国土交通省
i-Construction|国土交通省
i-Constructionは「ICTの全面的な活用」「全体最適の導入(コンクリート工の規格の標準化)」「施工時期の平準化」を3本柱とし、ICT施工はその中核を担います。従来の人力による計測や手書き管理を情報技術で置き換えることで、現場調査・測量の工数を最大95%削減できます。
単に機材を使うだけでなく、BIM/CIM(3次元モデル)を核としたデータ連携が重視されており、設計変更時の協議においても3次元データの活用が前提となりつつあります。
ICT技術の適用工程と対象分野
国土交通省の「ICT活用工事(土工)実施要領」では、以下の5工程を適用の基本単位として定めています。
- 3次元測量(UAVやレーザースキャナーによる起工測量)
- 3次元設計データ作成(2次元図面の3D化)
- ICT建機による施工(MC/MG搭載機による自動・半自動施工)
- 3次元出来形管理(点群データによる形状計測)
- 3次元データの納品(電子納品)

土工の全施工範囲への適用が原則で、監督職員との協議を経て対象範囲を確定します。
対象工種は土工が中心ですが、舗装工・浚渫工・法面工・地盤改良工など他工種へも適用範囲が広がっています。ドローンによる空中写真測量や地上型3Dスキャナーを使った点群データ取得が主な測量手法で、盛土・切土の計測を数秒で完了させられます。
ICT施工技術の導入目的
最大の目的は建設現場の生産性向上です。
担い手不足・高齢化が進む建設業において、ICT活用により生産性を高めることを期待し、国土交通省は調査・測量から維持管理・更新まで、建設生産プロセス全体の効率化を目標として掲げています。
3次元データによる施工管理は計測ミスや手戻りを減らし、安全性の向上にもつながります。出来形管理データはシステム上でレポートをワンクリックで自動生成できるため、書類作成の負担も大幅に軽減されます。
また検査する側からも、3次元データによる出来形管理が認められれば現場での実測立会が省略でき大幅な時短につながるので、データ納品による検査で完了できるケースが増えつつあります。
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ICT施工による現場のメリット・デメリット
ICT施工の導入は初期費用がかかるものの、測量工数の削減や安全性の向上など、現場の根本的な課題を解消できる可能性を持っています。判断材料として、メリットとデメリットを整理します。
まずメリットから確認しましょう。
- ドローン測量や3次元設計データの活用により、現場調査・測量の工数を大幅に削減できる
- 国土交通省の集計では、ICT活用工事の生産性は2015年度比で2022年度時点に約21%向上している
- 丁張り設置が不要になるため、測量ミスや手戻りが減り、少人数での施工が実現しやすくなる
- 盛土・切土の計測がリアルタイムで完了し、出来形データがデジタルで自動記録される
- 作業員が重機の近くに立ち入る機会が減り、接触事故等の安全確保につながる。
出典:
i-Constructionの更なる展開|国土交通省
建設施工・建設機械:ICTの全面的な活用|国土交通省
一方、デメリットも把握しておく必要があります。
- ICT建機のレンタルや3次元設計データの作成など、導入初期に一定の費用がかかる
- 機器操作やソフトウェアへの習熟が必要で、導入直後は段取りに時間を要する
- 通信環境や機器トラブル(GNSSのマルチパス等)が発生すると施工が止まるリスクがある
デメリットは主に「最初だけかかるコスト」と「慣れるまでの手間」に集約されます。導入後に測量外注費や手戻り工数が減れば、費用を回収できるケースが多くあります。中長期の収支で判断することが重要です。
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ICT施工実施要領に基づく適用条件と発注方式
ICT施工を適用するには、国土交通省が定める実施要領の枠組みを理解することが出発点です。発注方式と適用工種の両方を把握することで、自社工事が対象になるかどうかを判断できます。
発注方式の種類
ICT活用工事には「発注者指定型」と「施工者希望型」の2つの発注方式があります。それぞれの主な違いは以下のとおりです。
| 項目 | 発注者指定型 | 施工者希望型 |
|---|---|---|
| 適用の決定者 | 発注者が指定 | 受注者が希望・申請 |
| 積算上の扱い | 当初設計でICT経費を計上 | 設計変更でICT経費を計上可 |
| 書類提出タイミング | 入札前から対応が必要 | 受注後に監督員へ申請 |
出典:
ICT土工活用工事に関するQ&A|国土交通省
ICT活用工事の実施方針|国土交通省
中小企業が初めてICT施工に取り組む場合、受注後に申請できる施工者希望型から始めるのが一般的です。積算上の経費は、ICT施工要領に基づき、必要な機材・経費等は設計変更で増額計上される仕組みとなっています。ドローン測量やICT建機を活用することで現場調査の工数を大幅に削減できれば、その分のコスト回収は十分に見込めます。
適用条件
国土交通省のICT活用工事(土工)実施要領では、対象工種を工事工種体系ツリーに基づいて定めています。主な適用工種は河川土工・海岸土工・砂防土工における掘削工・盛土工です。
出典:
ICT活用工事(土工)実施要領|国土交通省
要領関係等(ICTの全面的な活用)|国土交通省
適用範囲はその後も順次拡大されており、法面工の吹付法枠など新工種への対応も進んでいます。自社工事が対象かどうかは、国土交通省の要領ページで最新の工種リストを確認するのが確実です。
盛土・切土の計測が数秒で完了するICT建機を導入すれば、出来形管理書類の作成も自動化でき、検査対応の負担を大きく減らせます。
また2026年現在は、小規模土工への要領適用も標準化されています。自社工事がICT対象と書かれていなくても、施工者希望型として協議を持ちかけることで、加点チャンスを広げることも可能です。
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ICT土木工事の施工プロセスとICT建設機械の活用
ICT施工は、測量・設計データ作成・建機施工・出来形管理という工程が一本のデータでシームレスにつながる点が特徴です。このデータの連続性こそが、手戻りを防ぎ、現場の生産性を劇的に向上させる鍵となります。
3D起工測量と3次元設計データの作成
起工測量では、ドローン(UAV)や地上型レーザースキャナ(TLS)で現地を計測し、点群データを取得します。従来の人力測量と比べて、面的なデータを一気に取得できるため、現場調査・測量の工数を大幅に削減可能です。
取得した点群データは専用ソフトで処理し、現況地形の3次元モデルを生成します。
出典:3次元計測技術を用いた出来形管理要領(案)|国土交通省
生成した現況モデルに設計図の高さ情報を重ね合わせ、施工用の3次元設計データを作成します。このデータがICT建機の制御情報として直接使われるため、丁張り設置の工程が不要になります。盛土・切土の土量計算も点群データから数秒で算出でき、現場判断のスピードが上がります。
ここで2次元図面では見えなかった「設計上の不整合」や「現況との乖離」が発覚することが多々あります。着工前にこのデータ検測を行うことで、施工中の丁張り修正や待機時間を未然に防げます。
ICT建設機械による自動制御施工の仕組み
ICT建機には、MC(マシンコントロール)とMG(マシンガイダンス)の2種類があります。これらは、建機に搭載されたセンサーとGNSS(全球測位衛星システム)等を連動させ、3次元設計データに基づいた施工を可能にする技術です。
MCはブレードやバケットを自動で制御する機能で、設計面に対して過不足なく仕上げられます。MGはオペレーターのモニターに現在位置と設計面の差分をリアルタイム表示し、人の判断を補助する機能です。
ただしMCは、オペレーターのレバー操作に対し、バケットやブレードが設計面を越えないようシステムがリアルタイムで介入する半自動アシストがまだまだ主流です。
| 項目 | MC(マシンコントロール) | MG(マシンガイダンス) |
|---|---|---|
| 制御方式 | 建機が自動でブレードやバケットを制御 | オペレーターに表示で誘導 |
| 操作 | 半自動・自動制御 | 手動操作が基本 |
| 精度 | 設計データ通りに高精度施工が可能 | オペレーターの技量に依存 |
| 作業効率 | 仕上げ作業の効率が高い | 丁張り削減・確認作業が効率化 |
| 主な用途 | ブルドーザー、グレーダー等の整地 | バックホウなど掘削作業 |
| 導入コスト | 比較的高い | MCより抑えやすい |
| メリット | 均一品質・省人化 | 導入しやすく柔軟に対応可能 |
どちらもGNSSや自動追尾トータルステーションで建機の位置を連続取得し、3次元設計データと照合しながら施工します。丁張りの設置・確認といった手元作業がなくなるため、熟練オペレーターへの依存度が下がるほか、作業員が重機の稼働範囲に立ち入るリスクが減るため、施工精度と効率、安全性が同時に向上します。
出典:マシンガイダンス技術(バックホウ編)の手引書【施工者用】|国土交通省近畿地方整備局
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ICT施工における施工計画の策定
施工計画の段階でICT施工の勘所を押さえておくことが、現場での混乱を防ぐ最短ルートです。適用条件の確認から3次元設計データの準備、出来形管理の体制づくりまで、一連の流れを計画書に落とし込む作業が導入成否を左右します。
特に重要なのは、監督職員との事前協議です。ICT施工は設計変更を伴うことが多いため、適用範囲や出来形管理の手法について合意形成を図っておくことが、現場の混乱を防ぐために重要です。
施工計画書の作成にあたっては、国土交通省が公開している記載例や手引きを活用するのが確実です。使用機材・ソフトウェアの仕様、担当者の役割分担、3次元データの管理方法を明記しておくと、現場全体が同じ認識で動けます。
出典:
ICT活用工事の施工計画書の記載例|国土交通省
ICT活用工事における施工計画立案の手引き(案)|国土交通省
「機材の操作が難しそう」「書類が増えるだけでは」という不安は、ツール選定で大きく解消できます。現場調査・測量の工数を最大95%削減し、盛土・切土の計測を数秒で完了させるシステムや、出来形レポートをワンクリックで自動生成できる管理ツールを組み合わせることで、少人数の現場でも無理なく回せる体制が整います。
ICT施工は大手専用の仕組みではなく、計画を丁寧に立てれば中小の現場でも十分に実行できます。
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ICT施工における現場運用の実践
ICT施工の現場運用は、測量・施工・出来形管理という一連の工程をデジタルデータでシームレスに連携させることが基本です。施工計画書の準備が整ったら、各工程を決められた手順どおりに進めていきます。
起工測量ではドローンや3Dレーザースキャナーを使い、現場全体の地形データを取得します。従来の人力測量に比べて現場調査・測量の工数を最大95%削減できるため、着工直後から大きな時間短縮を実感できます。取得した点群データは3次元設計データと照合し、マシンコントロール(MC)またはマシンガイダンス(MG)を搭載した建設機械に読み込ませます。
出典:建設施工・建設機械:ICTの全面的な活用 - 国土交通省
施工中の出来形計測も同様にドローンで行うため、盛土・切土の計測が早ければ数秒単位で完了します。計測データから出来形管理帳票をワンクリックで自動生成できるので、書類作成に費やしていた時間を大幅に圧縮できます。
現場代理人は計測結果をリアルタイムで確認しながら、手直しや工程調整をその場で判断できるのが大きな強みです。
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ICT施工の導入に向けた課題と対策
ICT施工は国交省直轄工事での普及が進む一方、地方の中小現場では費用・人材の両面で課題が残ります。しかし、これらを解消するための支援制度は年々拡充されているので、利用できる支援制度を把握しておくと、導入への壁を確実に下げられます。
2023年度、国交省直轄土木工事のICT施工実施率は公告件数の87%に達しました。一方、都道府県・政令市では23%にとどまっており、地方の中小現場での普及は遅れています。
主な要因は、ドローンや3Dスキャナーの導入コストと、3次元データを扱える人材の不足です。

出典:
ICT施工に関する状況報告|国土交通省
i-Construction 2.0の取組状況 中小建設業・地方公共団体の実施状況|国土交通省
費用面の課題には、国の支援制度が有効です。中小企業投資促進税制では、ICT建設機械の取得額に対して特別償却30%または取得価格の7%の税額控除を選択適用できます。補助金と組み合わせれば、初期投資の実質負担をさらに抑えることが可能です。
また、実務において重要なのは、施工者希望型におけるICT経費の積算補正です。2026年現在は、機材賃料の割増だけでなく、3次元データ作成費用や技術者派遣費用などが標準的な補正係数として設計変更に反映される体制が整っています。
出典:i-Constructionの導入に関する補助金・税制・融資制度|国土交通省
人材面では、施工者希望型でICT土工を1件経験することが近道です。ドローン計測と出来形管理の自動化ツールを活用すれば、現場調査・測量の工数を大幅に削減しながら実務でスキルを積めます。段階的に経験を重ねることで、実務を通じて社内でICT施工を自走させる体制やノウハウが整います。
【実例】ICT施工の導入事例
実際の現場でICT施工がどのように機能しているかを、公的機関が公開する事例で確認しましょう。導入効果と運用イメージを具体的に把握できます。
供用道路に隣接した起工測量をレーザースキャナーで無人化した事例
関東地方整備局管内の工事では、供用中の道路に近接した法面の起工測量に地上型レーザースキャナーを導入しました。従来は作業員が直接近づいて計測していた工程を、離れた安全な位置からのスキャンに切り替えたことで、交通規制を最小限に抑えながら高精度なデータを短時間で取得できました。施工者(加藤組)と発注者が意見交換会を重ね、ICT施工の普及に向けた知見を積み上げた点も注目に値します。
出典:i-Construction の取組状況(ICT土工事例集)ver.1|関東地方整備局
河川土工の河道掘削にMCバックホウを適用した事例
東北地方整備局管内の河川改修工事では、河道掘削工にMC(マシンコントロール)バックホウを投入しました。3次元設計データをもとに機械が掘削深さを自動制御するため、丁張りを省略でき、若手オペレーターでも高精度な施工を実現しています。ICT導入による計測精度の向上が生産性と安全性の両方に寄与し、若手技術者の育成効果も評価されています。
中小建設業向けICT施工体験型講習で習熟を後押しした事例
国土交通省は令和4年度から、起工測量から出来形管理までの一連の流れを実地で学べる体験型「ICT施工講習」を実施しています。実際の機材を使った実習形式により、導入前に現場代理人が操作感を掴める環境が整えられました。費用や人材育成に不安を抱える中小企業にとって、こうした公的支援の活用が初期の障壁を下げる有効な手段となっています。
出典:中小建設業へのICT施工の普及促進に向けた取組|国土交通省
あわせて読みたい:今活用が進んでいる点群データとは?ドローン測量で得られる3次元データの活用法
【FAQ】ICT施工に関するよくある質問
現場でよく上がる疑問に、要点を絞って答えます。
小規模工事へのICT施工拡大の現状は?
国土交通省の直轄土木工事では、2024年度のICT施工実施率が公告件数の約9割に達しています。
小規模工事への展開も進んでおり、関東地方整備局は2022年3月、全国で初めてとなる「小規模工事ICT施工活用の手引き(案)」を公表しました。この小規模工事ICT施工活用の手引き(案)を皮切りに、全国で「簡易型ICT」の運用が広がっています。
出典:
i-Construction2.0の推進状況と課題解決に向けた取組|国土交通省
小規模工事ICT施工活用の手引き(案)|技術情報 - 関東地方整備局
また、ICT施工の5段階プロセスのうち1段階だけ取り組めばICT活用工事と認め、費用も計上できる運用が広がっています。
ICT機器の導入に活用できる補助金はありますか?
はい、各種制度の要件を満たせば活用可能です。代表的なものとして、経済産業省の「IT導入補助金」や「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金)」などが、3次元設計ソフトや測量機器の導入費用に充てられる場合があります。
ICT施工の現場導入を加速するなら、くみきの活用が最短ルート
この記事では、国交省要領に基づくICT施工の適用条件・施工プロセス・出来形管理・導入課題まで、現場代理人が押さえるべき要点を一通り解説しました。
現場でICT施工の効果を最大化するうえで最大の障壁は、「測量・計測・書類作成」に要する工数です。
また、新しいツールの導入や新技術への挑戦によってデータ量が増大し、結果として情報の集約や検索に手間取ってしまうケースも少なくありません。
この工数をいかに圧縮できるかが、費用対効果を左右する鍵となります。
空間データ統合プラットフォーム「くみき」は、現場調査・測量の工数を最大95%削減し、土量計測もわずか数秒で完了。出来形レポートの自動生成により、外注費を100%カットした事例もございます。
また、あらゆるデータを地図上に紐づけられるため、現場の状況を時系列かつ「場所」で一元管理し、そのデータを基に的確な作業指示まで行えます。生産性を最大9倍に引き上げる
「くみき」なら、中小規模の現場でも国交省要領に準拠したICT施工を無理なく運用可能です。ICT施工の導入をこれから進めるなら、まずくみきの資料請求から始めてみてください。
