GISソフトとは?種類や業務での使い方、
比較ポイントを解説

目次
GISソフトについてなんとなくイメージがあっても、具体的に何ができるのか、どのようなものなのか説明できる方は多くないでしょう。
本記事では、GISソフトの基本的な仕組みから種類、業務での使い方、失敗しない選び方まで、導入を検討している方に向けてわかりやすく解説していきます。
GISソフトとは
GISソフトとは、地理情報を地図上で収集・管理・分析・表示するためのソフトウェアです。
「地図を使った何か」という漠然としたイメージを、ここでは具体的な機能と用途に整理していきます。
地理情報システム(GIS)の仕組み
GISは「Geographic Information System」の略で、日本語では「地理情報システム」と呼びます。コンピュータ上でさまざまな地理空間情報を重ね合わせて表示・分析するシステムで、現代のインフラ管理や防災計画に欠かせない情報基盤です。

出典:国土交通省国土政策局GISHP【ガイダンス―GISとは】|国土交通省
GISの最大の特徴は、位置情報を持つデータ(空間データ)を複数のレイヤー(層)として重ねて管理できる点にあります。
道路網・建物・地形・人口分布などをそれぞれ別のレイヤーとして扱い、目的に応じて組み合わせた分析が可能です。
例えばこれらを自由に重ね合わせることで、「急傾斜地にある老朽化した水道管」といった、地図を眺めているだけでは見えない課題を特定する、といった使い方も可能です。
建設現場では、測量データや地形モデルをGIS上で重ね合わせることで、従来は現地に足を運ばなければ把握できなかった情報を、デスクトップ上で即座に確認できます。
GISソフトとWeb地図サービスの違い
よく混同されるのが、国土地理院が提供する「地理院地図」などのWeb地図サービスです。
地理院地図は、地形図・標高・災害情報などをブラウザ上で誰でも閲覧できるウェブ地図で、地理情報の「閲覧」を主な目的としています。
出典:地理・防災教育での活用方法を紹介します|地理院地図の使い方|国土地理院
一方、GISソフトはデータの取り込み・編集・空間解析・帳票出力まで、業務上の処理を一貫して行えます。
Web地図サービスが「見る」ためのツールだとすれば、GISソフトは「分析して業務に活かす」ためのツールといえます。
あわせて読みたい:GISデータとは?データ形式や入手方法、使い方、活用方法を解説
GISソフトでできること
GISソフトの機能は地図の表示にとどまりません。データの編集から高度な空間解析まで、業務の現場で即戦力になる機能を幅広く備えています。

地図データの可視化とレイヤー管理
GISソフトでは、複数の地理データを「レイヤー」と呼ぶ層に分けて重ね合わせながら表示できます。
道路網・地形・建物・行政区画といった異なる種類のデータをそれぞれ独立したレイヤーとして管理し、必要なものだけを選んで表示・非表示を切り替えられます。
たとえば建設現場では、現況地形図の上に設計図面や工事区域のポリゴンを重ねて全体の位置関係を一目で把握できます。オルソ画像をレイヤーとして取り込めば、現場の最新状況をリアルタイムに地図へ反映させることも可能です。
地理データの編集と属性情報の更新
GISソフトは地図を閲覧するだけでなく、データそのものを編集する機能も持っています。
道路の形状を修正したり、ポイントデータを追加したりといった図形編集のほか、各地物に紐付いた「属性情報」(名称・面積・工事履歴など)をデータベース感覚で更新できます。
現場で取得した測量データをGISに取り込んで属性情報を入力すると、現地調査の記録が即座にデジタル台帳として整理されます。
空間解析
GISソフトの最大の強みは、地理的な関係性を数値で分析する「空間解析」です。
ある地点からの距離帯(バッファ)の生成や複数レイヤーの重ね合わせ、最適な経路算出など、地図上のパターンや関係性を自動的に導き出せます。
土木・建設の分野では、盛土や切土の体積計算が数秒で完了するほか、斜面の傾斜分析や浸水リスクの範囲推定にも活用されています。現場調査で手作業に頼っていた計測・集計作業を大幅に自動化・削減できることが、GISソフト導入の大きなメリットです。
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GISソフトの種類
GISソフトは動作環境・機能の範囲・ライセンス形態によっていくつかの種類に分かれます。
自分の業務やチームの規模に合ったソフトを選ぶために、それぞれの特徴を押さえておきましょう。
デスクトップ型
パソコンにインストールして使うタイプです。
QGIS(キュージス)が代表的で、世界中の自治体や建設現場で広く採用されているオープンソースの地理情報システムです。インターネット接続がなくても動作するため、通信環境が限られる現場でも使えます。
データの読み込み・編集・空間解析まで一通りの操作をカバーしており、高精度な計測や解析が必要な業務にはデスクトップ型が適しています。
Web・クラウド型
ブラウザ上で動作し、インストール不要で使えるタイプです。国土地理院の「地理院地図」のように、地図の閲覧・共有に特化したサービスが代表例として挙げられます。
複数人がリアルタイムでデータを確認・共有しやすく、現場と事務所をつないで進捗を管理する用途に向いています。
ただし高度な空間解析や詳細なデータ編集は、デスクトップ型と比べて機能が限られます。閲覧・共有を主目的とする場合に適しています。
閲覧専用と編集ソフトの違い
GISソフトは機能の範囲によって「閲覧専用」と「編集機能付き」に大きく分けられます。用途を明確にしてから選ぶことが大切です。
| 種別 | 主な用途 | 代表例 |
|---|---|---|
| 閲覧専用 | 地図・データの表示・共有 | 地理院地図、Google マップ |
| 編集機能付き | データ作成・修正・空間解析 | QGIS、ArcGIS |
現場の作業員が地図を確認するだけなら閲覧専用で十分です。
一方、計測データを登録したり図面を修正したりする業務では、編集機能付きのソフトが必要になります。
オープンソース(フリー)と商用ソフトの違い
ライセンス形態の違いも、ソフト選びの重要な判断軸です。
| 項目 | オープンソース(フリー) | 商用ソフト |
|---|---|---|
| 費用 | 無料 | ライセンス費用が必要 |
| 代表例 | QGIS | ArcGIS、MapInfo |
| カスタマイズ | ソースコードを自由に改変可能 | 改変は制限される |
| サポート | コミュニティベース | 公式サポートあり |
QGISに代表されるオープンソースソフトは、導入コストを抑えたい自治体や中小規模の建設会社に適しています。一方、商用ソフトは公式サポートや安定したアップデートが強みで、大規模プロジェクトや組織での標準化に向いています。
業務におけるGISソフトの活用例・使い方
GISソフトは単なる地図の閲覧ツールではなく、現場データや公的統計を統合し、都市計画・建設・物流・マーケティングなど幅広い業務の意思決定を支える基盤となります。
ここでは導入効果が高い代表的な2つの活用場面を紹介します。
測量・地形データを取り込んだ地図作成
建設・土木の現場では、ドローン測量で取得した点群データや航空レーザー測量の標高データをGISソフトに読み込み、地形図や断面図を迅速に作成できます。
国土地理院が無償提供する基盤地図情報をベースマップとして活用すれば、従来のような現地調査と手作業による膨大な図面作成の工数を大幅に削減できます。
特に盛土・切土の体積計測が数秒で完了し、レポート出力まで自動化できる点は大きな強みです。これまで外注に頼っていた図面作成業務を内製で完結できるようになるため、コスト削減とスピードアップを同時に実現できます。
公共データや統計データを活用したエリア分析
国勢調査や人口分布などの統計データは、e-StatのGIS機能(jSTAT MAP)などを通じて地図上に直接重ね合わせて分析できます。自治体の施設配置計画や商業施設の出店エリア選定など、データに基づく意思決定に活用されています。
出典:統計地理情報システム|e-Stat 政府統計の総合窓口
国土交通省の事例では、AIオンデマンド交通のODデータやバス停別乗降人数を人口分布と重ね合わせ、新たな公共交通の需要を可視化しています。
複数のデータレイヤーを瞬時に合成できるGISソフトの強みが、こうした複合的なエリア分析を支える鍵となっています。
主要なGISソフト一覧
代表的なGISソフトを無料・有料に分けて紹介します。費用だけでなく、得意な用途や対応OSも異なるため、導入目的に合って選択することが重要です。
| ソフト名 | 費用 | 対応OS | 主な用途 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| QGIS | 無料 | Windows / Mac / Linux | 総合GIS | オープンソースで拡張性が極めて高い |
| ArcGIS | 有料 | Windows / Web | 業務用総合GIS | 世界標準の商用GISで信頼性と高度な分析機能 |
| MANDARA | 無料 | Windows | 統計地図作成 | Excelデータをそのまま可視化可能 |
| Google Earth Pro | 無料 | Windows / Mac / Linux | 地図閲覧・簡易計測 | 直感的な3D閲覧に特化(解析は限定的) |
QGIS(無料)
QGISはデータの作成から高度な空間解析、地図出力まで網羅するオープンソースの代表的なソフトウェアです。
無料でありながら、データの作成・編集・空間解析・地図出力まで一通りこなせます。Windows・Mac・Linuxに対応しており、導入コストを抑えたい自治体や中小企業にも選ばれています。
2026年リリースの最新バージョン(4.0系)では、システム基盤の刷新により動作がさらに高速化しました。豊富なプラグインを活用することで、ドローン測量などの現場データとも柔軟に連携可能です。出典:QGIS overview · QGIS Web Site
ArcGIS
米国Esri社が開発したArcGISは、国内ではESRIジャパンが提供する商用GISの世界標準です。
地図データの統合・管理・分析から、ドローンや衛星画像の処理まで幅広い機能を備えており、国土交通省や大手建設会社など、精度と信頼性を重視する現場で広く採用されています。
デスクトップ版のArcGIS Proに加え、ブラウザで利用できるArcGIS Onlineも提供されており、チームでのデータ共有や現場との連携にも対応しています。有料ソフトのため導入コストは発生しますが、技術サポートや定期的なアップデートが受けられる点が強みです。
また2026年現在は最新のAI解析機能も強化されており、有料ならではの手厚い技術サポートと定期的なアップデートが、組織運用における大きな安心感に繋がっています。
MANDARA(無料)
MANDARAは、Excelで作成した地域統計データを地図化することに特化した無料のGISソフトです。専門知識がなくとも、人口分布図や市区町村別の統計地図を容易に作成できる設計になっており、教育現場や簡易的なエリア分析に最適です。QGISのような高度な空間解析機能はありませんが、統計データの可視化に絞った用途であれば、その高い操作性は大きなメリットとなります。近年はブラウザ上で動作するMANDARA JSの活用も広がっており、PCの環境を選ばず手軽に統計地図を利用できる環境が整っています。
出典:地理情報分析支援システム MANDARA|フリーGISソフト
Google Earth Pro(無料)
Google Earth Proは衛星画像や航空写真を閲覧できる無料ソフトですが、実務上の本格的なGISソフトとは役割が根本的に異なります。
図形データの作成・編集や空間解析といったGISの中核機能は備えておらず、業務用GISの代替にはなりません。
一方で、現地の地形や建物の状況を直感的に確認したり、KMLファイルを使って簡易な情報を地図上に表示したりする用途には向いています。現場の事前確認やプレゼンテーション資料の補助ツールとして、分析用のGISソフトと使い分けるのが効果的です。
GISソフトの比較ポイント
GISソフト選定では、対応OS・導入コスト・データ互換性の3点を事前に確認することが重要です。

対応OS(Windows・mac・Linux)
QGISはWindows・macOS・Linuxのすべてに対応したオープンソースGISです。
一方、ArcGIS DesktopはWindowsのみに対応しており、macやLinux環境では利用できません。業務PCのOSが統一されていない組織では、マルチプラットフォーム対応のソフトを選ぶことで、導入後の環境トラブルを防げます。
Linux環境でのサーバー運用を想定する場合は、QGISやWeb型のGISサービスが現実的な選択肢になります。
また、現地調査や測量で収集したデータをそのままGISソフトに取り込める環境を整えると、データ変換や移し替えの工数を大幅に削減できます。
導入コスト(価格)と開発・サポート体制の有無
QGISは無償で利用できますが、技術的な質問やトラブル解決はコミュニティティベースが中心です。
一方、商用ソフトのArcGISはライセンス費用は発生しますが、日本語での公式サポートや保守体制が得られる安心感があります。
また、組織で導入する場合は、初期ライセンス費用だけでなく保守費用・トレーニング費用・カスタマイズ開発費も含めた総コストで比較検討することが、長期的な運用の成否を左右します。
特に社内に専任の技術者がいない場合は、サポート契約の有無が運用の負荷を左右します。
既存データとの互換性
GISソフトを選ぶ前に、自組織が保有するデータ形式がスムーズに読み込めるかを確認しましょう。
主要な形式はShapefile・GeoJSON・KMLで、多くのGISソフトがこれらに対応しています。
建設・測量現場ではCADデータ(DXF形式)や点群データ(LAS形式)をGISに取り込むケースも多く、対応フォーマットの広さが選定の決め手になります。互換性が低いソフトを選ぶと変換作業が増え、生産性の向上を妨げる原因になります。
GISソフトの運用において現場が直面しやすい課題
GISソフトは業務効率化に有効なツールですが、導入後に運用上の壁に直面するケースは少なくありません。
操作難易度が高い
デスクトップ型GISソフトの多くは機能が豊富な分、習得コストが高くなりがちです。座標系の設定やレイヤー管理、空間演算のパラメーター調整など、GIS固有の概念を理解しないと基本操作さえ滞ってしまうケースもあります。
国土交通省の調査によると、地方公共団体における都市計画GISの導入率は2021年時点で約54%に達していますが、導入済みの団体でも担当者が異動するたびに運用が止まるという問題が繰り返されています。
データ整備の負担
次に大きな負担となるのが分析の前段階であるデータ整備の工数です。GISソフトを活用するには、精度の高い地理情報データが前提になりますが、そのためには
現地測量や空撮によるデータ収集、フォーマット変換、複雑な座標変換など、分析の前段階に地道な作業を要します。この準備作業だけで全体の工数の大半を占めてしまう例も散見されます。
国土地理院も指摘するとおり、利用者がそれぞれ個別にデータを整備すると重複投資になりやすく、コスト負担が膨らみます。現場調査だけで全体工数の大半を占めてしまい、肝心の分析業務に時間を割けないという声は建設・測量の現場で特に多く聞かれます。
3D・点群対応の壁
さらに、近年はドローン測量や国土交通省のPLATEAUが普及し、3D都市モデルや点群データを活用する場面が増えています。
しかし既存のGISソフトでは、大容量の点群ファイルを読み込むだけで処理が重くなったり、盛土・切土の土量計算を手動で行ったりしなければならないケースがあります。
これら一連の処理を自動化できれば、計測からレポート出力までを数秒に短縮し、生産性を飛躍的に高められます。
3D・点群への対応力は、ソフト選定時に見落とされがちですが、現場の生産性を大きく左右するポイントです。
出典:Handbooks of 3D City Models - PLATEAU|国土交通省
「くみき」ならGISソフトは不要!簡単操作で業務を効率化しよう
これまで建設現場でGISの活用が進まなかった背景には、操作の難解さやデータ整備の重い負担、そして専門スキルの必要性という高い壁がありました。
空間データ統合プラットフォーム「くみき」は、高度なSfM処理だけでなく、GISデータ処理もノートPC一台で完結。誰でも直感的に操作できるインターフェースにより、現場の進捗管理を強力にサポートします。
また、主な強みは以下の3点です。
- 設計と現況の即時比較:設計図面とドローン撮影による現況データを重ね合わせ、工事の進捗を視覚的に把握!
- 「動く資料」として活用:作成した3Dデータや地図は、そのまま会議や報告時の共有資料として活用でき、合意形成をスピードアップ!
- 現場指示のデジタル化:最新の地図データ上に、作業指示や立入禁止区域を直接描き込み、ミスのない確実な情報共有を実現!
「くみき」なら、これまで専門家のものであったGISを、現場の「当たり前の道具」へと進化させます。
ぜひこの機会に「くみき」を活用した新しい現場管理の形を一緒に考えてみませんか?、現場や事務所の一連の業務フローをこの機会にぜひ見直してみてください。
