2021年12月1日

オルソ画像とは?ドローン撮影で作成するオルソ画像!
最新テクノロジーをカンタン解説

オルソ画像を理解するには!?Googleマップが分かりやすい

オルソ(ortho)という言葉は、ギリシャ語で「正しい、ひずみの無い」という意味で使われています。オルソ画像との言葉をこの解釈に当てはめると、「ひずみの無い画像(写真)」となります。

この言葉の意味のとおり、オルソ写真は通常の写真と比較すると「ひずみ」がありません。では、「ひずみが無い写真」とは、どのような写真を指すのでしょうか。

ここでは、みなさんお馴染みのGoogleマップにて、オルソ画像・オルソ写真について解説しましょう。

オルソ画像の特徴!基本的に航空写真が多い

オルソ画像は基本的に航空写真、つまり上空から地表面を撮影した写真になります。ポートレート写真のように、人物を被写体として撮影した写真でないのも特徴の一つです。空中から地表面を撮影することで、その写真はさまざまな用途に活用することが可能となります。

最も分かりやすいのは、Googleマップで見ることのできる写真でしょう。Googleマップに航空写真レイヤを表示させれば、世界中をシームレスに見ることができます。また、目標地点までの経路検索に航空写真を表示させれば、地図よりも状況が詳細に把握できます。

これは、航空写真(Google Earthは衛星写真)だからこそできることで、地上で撮影する写真では叶いません。

「ひずみが無い」とは建物の側面が見えないこと

オルソ写真は「ひずみが無い写真」ですが、ひずみが無いとはどのような写真なのか、分かりづらいですね。実は先ほど解説したGoogleマップの航空写真も、オルソ化された航空写真なのです。ですから、Googleマップの写真を使って「ひずみ」を解説しましょう。


出典:Googleマップ

これは、Googleマップの東京都文京区の一部分を切り取った画像です。住宅地を選んでいますが、注目して頂きたいのは建物です。

この写真では、全ての建物の屋根しか見えませんよね。どの場所の建物も、壁を見ることなく屋根しか見えないので、全て真上から見ている状態になっています。

これが、オルソ画像の特徴である「ひずみが無い」と言うことです。

正射投影によって全てが真上から見えるようになる

専用のカメラを使って撮影すれば、オルソ写真を撮ることができる訳ではありません。航空写真は撮影した時点では、普通の写真と何ら変わりません。撮影後に写真をオルソ補正してオルソ化することで、オルソ画像ができあがります。手順としては、次のようになっています。

1:航空写真を撮影(中心投影にて撮影)
2:撮影した航空写真をオルソ補正する(中心投影された写真を、正射投影にオルソ化)
3:正射投影に補正することで写真がオルソ画像化される
4:オルソ画像ができあがる

このオルソ化の手順を行うことで、中心投影にて撮影された航空写真が正射投影となり、オルソ画像化された写真は、どの地点から見ても真上から見ている写真となる訳です。

通常の写真とオルソ画像との違い

先に解説した、通常の写真とオルソ画像との違いを、図を使って解説しておきましょう。

下の画像のように、普通の写真は中心投影となり中心から広がった写り方をします。ですから、中心の1点のみ真上から見ることができますが、その周辺は側面が見えてしまい真上を見ることができません。

一方で、オルソ画像は正射投影となるため、写真内全てのモノが真上を見ることができます。高さもフラットとなるので、その点も中心投影とは異なった特徴を持っています。


出典:株式会社スカイマティクス

Googleマップの写真は簡易オルソとなる

ここまでで、なんとなくでもオルソ画像(オルソ写真)に、ついて理解が深まったと思います。

Googleマップのオルソ写真も精度は高いですが、精密オルソ並みの精度までは持っていません。どこが違うのかと言うと、10階以上の高い建物の場合は壁面が見えています。業界用語では、建物が横向きに見えるので「写真が寝ている」と呼んでいます。

分かりやすい例で言うと、東京タワーを見てみましょう。


出典:Googleマップ

Googleマップの航空写真では、東京タワーのような高い建物は寝て見えます。画像を見ればお分かり頂けるように、東京タワーの側面が見えていますね。また、東京タワーの左下にある高層階の建物も、南側の壁が見えています。

このように、Googleマップの航空写真では、高い建物については完全な正射投影ができていません。「333mもある東京タワーなのだから、さすがに真上からはムリでしょう」と、思われる方もいらっしゃるでしょう。ですが、完全な正射投影を行うと、333mの東京タワーも次のように、真上から見るオルソ画像ができあがります。


出典:株式会社スカイマティクス

このオルソ画像は、株式会社スカイマティクスが運営する「KUMIKI」サイトの動画の一部分からピックアップしたものです。

左側の写真は中心投影した写真なので、東京タワーの側面が見えています。それを正射投影にてオルソ画像化すると、右側の写真のように東京タワーの頂点を、真上から見た写真となっているのがお分かり頂けるでしょう。

精密オルソで作成すると、右側の写真のようなオルソ画像に仕上がります。

左側の写真の東京タワーは、Googleマップの東京タワーと同じような写り方をしていますが、Googleマップの写真はオルソ化されています。ただ、簡易オルソの場合だと、高い建物は中心投影した状態と同じように見えてしまうのです。

オルソ画像×GIS ハザードマップにもオルソ画像は利用されている

オルソ画像は、さまざまな分野で利用されています。Googleマップも実はオルソ写真が先で、その後オルソ写真に基づいてマップが作成されています。Googleマップに限らず、世の中の精密な地図は、オルソ画像を元にデジタイズされて地図として作成されているのです。

マップ作成にはGISを使って作業が行われる

GISとは(Geographic Information System)の略で、日本語では「地理情報システム」と呼ばれています。専門的なように思えますが、Googleマップ事態が既に、GISとなっています。身近なところでは、カーナビもGISとなりますね。GISをカンタンに言ってしまえば、地図と、写真、その他情報を一度に見られるシステムと言えます。

例えば、地図上のレストランにアイコンを載せます。そのアイコンに、レストランの「営業時間・定休日・おすすめメニュー」などの情報を入力します。すると、アイコンをクリックすると、レストラン情報が見られるようになります。これが、GISの基本的な仕組みです。

そして地図は、GIS上に表示されたオルソ写真をデジタイズして作成していきます。GISが普及するまでは、オルソ画像をCAD上に配置してデジタイズを行っていました。

この作業には、標定と呼ばれる作業が必要で、オルソ画像の座標をCAD上で合わせる必要があるのです。もしも、この標定作業が1mmでも狂うとマップの持つ座標が狂うので、使い物になりません。

ところがGISだと、座標系を設定しておけばオルソ画像の座標を自動的に配置してくれるので、正確にマップを作成することができます。

オルソ画像とGISの相性はとてもよいので、カーナビやGoogleマップでも使われています。

ハザードマップもオルソ画像が使われている

ハザードマップは災害から身を守るために、必要な地図となっています。台風などで河川が氾濫し大きな災害が起きると、いつもニュースで洪水ハザードマップの浸水想定域と、被害状況を照らし合わせた報道が流れます。

これまでの災害でも、浸水想定域が被害状況と一致していると報じられています。一致しているのは、ハザードマップの地形図作成にオルソ画像が使われているからです。

全国のハザードマップに使われている地図は、自治体が独自に作成した地図か国土地理院が作成した地図が利用されます。どちらも、DM(Digital Mapping:デジタルマッピング)と呼ばれる手法で作成された地図です。

この手法は、国土交通省公共測量作業規程第283条に基づく作業となっているので、国が作っても自治体が作っても同じ作り方となります。ここで使用されるのが、オルソ画像です。

先に説明した通り、オルソ画像は正射投影となるようオルソ化されているので、現地の座標と全く同じ座標となります。そのため、オルソ画像を使ってDM手法で作られた地図は、現地の座標と同じ座標を持った地図ができあがります。

この地図を利用してハザードマップが作られますし、浸水想定区域の解析もDM手法で作られたデジタルマップを用いているので、浸水想定範囲も正確なものとなっています。

つまり、オルソ画像があってこそ正確なデジタル地図を作成することができ、さまざまな分野で利用できるようになっているという訳です。

航空写真測量からドローン測量に移行している3つの理由

そんなデジタル地図の基となるオルソ画像ですが、オルソ画像を作る手順を改めて解説すると、最初に「航空写真の撮影」がありましたよね。

少し前までは、オルソ画像を作成する際には飛行機で航空写真を撮影していました。まぁ、撮影手段が飛行機しかなかったので仕方なかったのですが、近年では飛行機に変わってドローンによる空中写真測量が行われるようになってきています。

1:航空写真が安価に撮影可能

飛行機による航空写真撮影は、公共測量作業規定に則って行われるため専用の飛行機が必要です。専用の飛行機は大手の航測会社しか所有していないため、多額の費用が必要でした。例えば、都市計画道路の策定をするために1kmほどの航空写真が必要でも、飛行機を使っての撮影が必要なので、数百万円の予算を必要とします。

ですが、ドローンが普及しドローンでの撮影技術も向上した今では、飛行機に変わってドローンでの空中写真撮影が可能となっています。これによって、撮影費用も大きく抑えることが実現しています。

公共測量作業規定にも「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」及び「公共測量におけるUAVの使用に関する安全基準(案)」が定められています。因みにですが、公共測量ではドローンと呼ばず、UAV(Unmanned Aerial Vehicle)と呼んでいます。

2:遺跡の写真撮影はドローンが主流

そうは言っても、飛行機による航空写真測量が無くなった訳ではありません。飛行機、ドローンそれぞれの長所を活かした利用方法がされています。

ドローンの長所を使った撮影が利用されるのは、遺跡の撮影現場でしょう。一般の方には馴染みが無いかも知れませんが、遺跡はいたる所で発掘されています。道路工事の現場や、大規模開発の現場など、広範囲に土地を掘り起こす現場では、ほとんど遺跡が出土します。そして遺跡が出土すると、工事は一旦ストップとなり次のような流れが発生します。

1:工事現場で遺跡が出土する
2:行政に届出を行う
3:工事は一旦ストップ
4:行政によって遺跡を上空から撮影 ⇒撮影後、工事再開
5:撮影した写真をオルソ化する
6:オルソ写真を用いて図化を行う
7:昔の井戸や遺構などをデジタイズして遺跡の3次元データを作成

どの自治体でも1年に数十回、遺跡の撮影は行われているはずです。これまでの撮影は、実機のヘリコプター、ラジコンヘリ、クレーンなどの手法で上空からの写真を撮影していました。

実機のヘリコプターの場合は、空港から現地までの飛行も撮影金額に入るので、結構な金額が必要です。また、実機が飛べない場所で出土した場合は、ラジコンヘリやクレーンを使っての撮影でしたが、特殊な技術が必要なのでこれはこれで高額な予算が必要となります。

そこで、登場したのがドローンです。ドローンを使えば現地でサッと撮影ができますし、何よりも低予算で撮影が可能です。今では遺跡現場での空中写真は、ほぼドローンでの撮影に置き換わっています。

3:点群データもドローンで取得可能

点群データと言うのは、飛行機からレーザーを地表に照射して取得するもので、各点で位置と高さが計測できます。つまり、一つの点にX・Y・Zの座標が記録されるので、三次元データを取得するには最適なデータです。

点群データは数千数万の点の集まりで、これらを専用ソフトで解析すれば三次元のモデリングと呼ばれるデータが取得できます。写真では平面(2次元)にしか見えないですが、点群データを使えば、写真を3次元で見ることが可能となるので、さまざまな用途で利用されています。

この点群データもこれまでは、主に飛行機による取得がメインでした。今では、ドローンにもレーザスキャナを搭載することができるので、ドローンでの点群データ取得も可能となっています。

公共測量作業規定にも、「UAV搭載型レーザスキャナを用いた公共測量マニュアル(案)」として、平成30年(2018年)3月30日に公表されています。その後、令和2年(2020年)3月31日に改定されて、現在も使用されています。

複数の写真をSfM処理にて正確な3D形状を復元できる

SfMとはStructure From Motionの略で、日本語では「多視点画像からの三次元復元」と呼ばれています。これは、レーザー測量を行わず、複数の写真をSfM処理することで写真から点群データを生成して、3D化できる技術です。

SfM処理を行うことができれば、座標値を持った空撮写真から、オルソ画像をつくり、3D点群データの作成が可能となります。

この技術は、次にご紹介する「KUMIKI(くみき)クラウド型ドローン測量サービス」にも組み込まれていて、レーザー測量機がなくとも、また高度な知識がなくても、空撮写真を入力するだけで、容易に地形データを生成することができ、さらに異なる時期に撮影された画像の位置補正を自動で行い、3D画像で「before-after」を比較することもできます。

KUMIKI(くみき)クラウド型ドローン測量サービス

さて、オルソ画像やドローンについて色々と解説してきたところで、これらの特徴を活かしたサービスをご紹介しましょう。

それは、KUMIKIが提供する「クラウド型 ドローン測量サービス」です。

毎日新聞や朝日新聞デジタルなど多くのメディアでも紹介されていて、省庁や自治体もこのサービスを導入しています。どのようなサービス内容なのか、詳しく解説しておきましょう。

Googleマップと同じタイルレイヤー処理を搭載

KUMIKIのシステムには、Googleマップと同じように「地図タイルレイヤー」「画像タイルレイヤー」など、各種のタイル処理が実装されています。

Googleマップの左下アイコンから、「航空写真・地形・路線図」などの、各種タイルレイヤを切り替えるGISの機能を、KUMIKIのシステムも搭載しています。

使い方は超カンタン!3ステップで計測が完了

KUMIKIの「クラウド型 ドローン測量サービス」の使い方は、超カンタンです。測量サービスの目的としては、対象個所の面積や体積、距離を正確に測定します。

ステップ1:ドローンで空中撮影した画像をアップロードします
ステップ2:オルソ画像や3D点群データなどの地形データを自動で生成します
ステップ3:計測や点検が実施可能です

ステップ3では、オルソ画像や3D点群データ上で、直感的に操作できる計測ツールにて、体積や距離などの計測や点検を簡単に実施できます。

ポイント1:指定のエリアを一括計測

KUMIKIの「クラウド型 ドローン測量サービス」のポイントとして、指定のエリアを一括計測できる便利機能があります。

計測するエリアが複数の場所や複雑な形状でも、体積・面積・表面積・高さ・外周を自動計測し記録・保存します。計測箇所が増えても、画像を変えたり、計測方法を考えたりする必要がありません。


出典:株式会社スカイマティクス

ポイント2:独自の「位置補正機能」

KUMIKI独自の「位置補正機能」は、2時期での特徴点同士を利用して位置補正を行うので、異なる時期に撮影した画像を比較することが可能になっています。

通常だと異なる時期に撮影された画像を比較しようとしても、画像の位置がズレていては比較ができません。

ですが、独自の「位置補正機能」を使うと、自動で画像の特徴点を見つけ位置を補正し、ピッタリと画像が重なるようになります。もう、GPSの誤差に悩まされることも、複雑な位置補正を行う必要はありません。

本機能は、プレミアムプランを契約すると利用が可能となります。


出典:株式会社スカイマティクス

変化量の自動計算

最新のオルソ画像上で、計測したい対象エリアと過去の比較したい画像を選択するだけで、自動的に体積・面積・表面積・高さ・外周の変化量を計算し、表示します。

これまでのように2つの画像で別々に計測し、エクセル・電卓・手動などで差分を計算する必要はありません。


出典:株式会社スカイマティクス

ポイント4:データのダウンロード

点群データ・オルソ画像・DSMを、Laz・Las形式・GeoTiff形式・PNG形式にてワンクリックでダウンロードできます。お手持ちの専用ソフトを使い、高度な利用にも活用できます。

まとめ

いかがでしたでしょう。オルソ画像やドローンなど、最新テクノロジーについて解説してきました。

オルソ画像は、Googleマップなど正確な地図作りには、欠かすことのできない技術となります。そして近年では、ドローンで撮影した写真をオルソ化して、オルソ画像を作成できるようになっています。

ただし、写真をオルソ画像化するにはそれなりの知識と技術、ソフトウェアが必要で、本来なら誰もが簡単にオルソ画像を作ることは難しいこととなっています。

そこで誕生したのが、くみき(KUMIKI)の「クラウド型 ドローン測量サービス」です。

このサービスを利用すれば、専門家しかできないオルソ画像化を自動で作成。しかも、2時期の画像を同一点で補正してくれるので、ズレなくピッタリと重ね合わすことも可能です。任意の場所の「before after」を比較できるので、さまざまな用途で利用が可能となります。

そんな優れたサービスを利用するなら、まずは「14日間無料トライアル」に申し込みましょう。くみきの基本機能を14日間、存分に体験することができますよ。

素晴らしいテクノロジーは、使ってみれば分かります。さっそく、無料トライアルに申し込んでみましょう。




【参考サイト】

国土地理院 無人航空機(UAV)を用いた公共測量~UAV写真測量~
https://psgsv2.gsi.go.jp/koukyou/public/uav/

国土地理院 無人航空機(UAV)を用いた公共測量~UAVレーザ測量~
https://psgsv2.gsi.go.jp/koukyou/public/uavls/index.html

国土地理院 GISとは
https://www.gsi.go.jp/GIS/whatisgis.html

株式会社スカイマティクス
https://smx-kumiki.com/