2026年2月18日
執筆者:スカイマティクスマーケティングチーム
対象製品:くみき

点群データの3Dモデル化とは?手法や活用事例も解説

点群データの3Dモデル化

建設や土木の現場では、ドローン測量やレーザー計測によって点群データを扱う機会が増えています。

一方で、「点群は取得できたがその先をどう実務のワークフローに繋げるか」という課題に直面する技術者も少なくありません。点群を単なる「点の集まり」から、計測や解析が可能な「3Dモデル」へ昇華させて扱うことで、地形把握や施工管理の精度を大きく向上させることができます。

この記事では、点群データの3Dモデル化に焦点を当てて、考え方や手法、活用方法を解説していきます。

点群データとは

点群データとは、3次元空間内の位置情報と、色や反射強度などの情報を持つ膨大な点の集合体です。

各点にはX・Y・Zの三次元座標が含まれており、地形や構造物の形状を「点の集合体」として表現します。建設や土木の分野では、地表や構造物の現況を立体的に把握するための基礎データとして扱われています。

点群データは、形状を細かく記録できる点が特徴です。一方で、点の集合体であるため、面としての属性を持ちません。したがってそのままでは、正確な土量計算や干渉確認には使いづらい場面が出てきます。

こうした理由から、「点の集合体である点群データ」を、様々な用途用に使えるデータにする工程、それが3Dモデル化です。

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点群データの取得方法

点群データは、計測手法によって特性が異なります。代表的な取得方法を以下にまとめます。

取得方法 概要 主な特徴
ドローン写真測量 上空から撮影した画像を解析して点群を生成 広範囲を短時間で取得しやすい
地上レーザー測量 レーザーを照射して距離を計測 構造物の形状を高密度で取得しやすい
モバイルマッピング 車両などに搭載した計測機器でデータを取得 道路や線状構造物に向く
写真測量 複数視点の写真を用いて点群を生成 専用機材が不要な場合がある

ドローン測量では、SfM(Structure from Motion)やMVS(Multi View Stereo)といった画像解析技術を用いて点群データが生成されます。これらの手法では専用の測量用センサーを必要とせず、一般的なドローンによる空撮画像から地形形状を把握します。

関連記事:ドローン(UAV)測量のやり方とは?機材・手順・時間・注意点を解説

点群データの3Dモデル化とは

点群データの3Dモデル化とは、点の集合体として取得された情報を、連続性のある面や立体に変換し、扱える状態に変換することです。

点群は現況を細かく捉えられる一方、点のままでは形としての連続性がなく、データとしては扱いにくい場面があります。3Dモデル化を行うことで情報が適切な形に変換・整理され、視覚的に把握しやすくなり、計測や確認といった作業にも使いやすくなります。

ここで重要なのは、「単に見た目を整える」ことが目的ではない点です。点群データが持つ位置情報を保持したまま、計算やシミュレーション等の目的を達成するために扱える形に変換する。そのための手段が3Dモデル化だと捉えると理解しやすいでしょう。

点群データを3Dモデル化すると何ができるか

点群を3Dモデル化すると、地形や構造物を面として連続的に確認できるようになります。起伏や段差のつながりが把握しやすくなり、断面確認や出来形の確認にも使いやすくなります。

また、モデル化されたデータは、視点を自由に変えながら確認できるため、現場に足を運ばなくても現況の共有を容易にします。発注者や現場監督など、立場の異なる関係者間で同じ形状を見ながら話を進められる点も特徴です。

初心者向け補足)3Dモデル化とCAD化の違いは?

項目 3Dモデル化 CAD化
元となるデータ 点群データ 点群データ、設計条件
主な目的 現況の形状を立体的に把握する 設計・施工管理に使う図形を作成する
形状の考え方 計測結果に基づく形状の再現 寸法や基準に基づく形状の定義
精度の位置づけ 点群の取得・合成精度に依存 設計値・管理基準に基づく
主な利用場面 地形確認、出来形確認、共有 設計図作成、数量算出、施工検討

3Dモデル化は、点群データを面や立体として扱いやすくする工程です。一方でCAD化は、設計や管理を前提とした図形データを作成する作業です。両者は役割が異なるため、目的に応じて使い分ける必要があります。

点群データを3Dモデル化する方法

点群データの3Dモデル化手順

点群データを3Dモデルとして扱う方法はいくつかありますが、建設・土木の現場でよく使われている代表的な手法は「メッシュ化」と「サーフェス化」です。いずれも点の集合を別の形で表現する変換ですが、得意とする用途や活用シーンには違いがあります。

メッシュデータへの変換

メッシュデータは、点群を三角形の面で結び、立体的な形状として表現するデータです。地形や構造物の外形を視覚的に捉えやすく、断面確認や出来形の把握といった用途に使われています。形状のつながりが見えるため、関係者間での確認や共有もしやすいです。

一方で、メッシュは点群をもとにした近似的な表現です。点の密度や処理条件によって仕上がりが変わるため、細部の再現性には差が出ます。

サーフェスデータへの変換

サーフェスデータは、点群から平均した連続面を生成し、地形をなめらかに表現する手法です。起伏や勾配の流れを把握しやすく、地形全体の傾向を確認する場面に向いています。また、造成前後の地形比較や、現況を俯瞰するための資料としても使われています。

ただし、サーフェスは面の性質上、構造物の角や細かな凹凸の表現は得意ではありません。構造物と地形が混在する現場では、メッシュとの使い分けが求められます。

iPhoneでも3Dモデルを作成できる?

結論から言うと、iPhone(12 Pro以降のLiDAR搭載モデル)を用いて、建設現場で実用的な3Dモデルを作成することは十分に可能です。LiDARスキャンと専用のアプリを利用すれば、簡易的な点群や3Dモデルを生成することは、以前よりも簡単にできるようになりました。

ただし取得できる範囲は限定的で、モデルの精度も専門的な測量手法とは大きく異なります。そのため、土量計算や設計を前提とした測量成果として使うことは難しく、現況確認など補助的な用途に留めるのが現実的です。

点群データを3Dモデル化する手順

点群データを3Dモデル化するには、いくつかの工程を順に進めます。一般的には次の6ステップです。なお、くみきの場合はドローンで撮影した画像をアップロードするだけで、これらの工程の大部分が自動処理されます。

  1. 点群データを揃える
  2. ノイズ除去
  3. 点群の整理
  4. 法線推定
  5. メッシュ生成(ポリゴン化)
  6. 仕上げ・書き出し

1)点群データを揃える

最初に、点群データの位置や向きを揃えます。取得方法や測定回数が異なる点群は、座標系が一致していないことが多いためです。相対座標のままでは設計図面と重ねられないため、公共座標系へ補正します。くみきでは、ドローン画像をアップロードするだけで位置補正まで自動処理されます。

2)ノイズ除去

点群には、車両や人、埃など測量対象外の点が含まれます。これらを除去することで、後工程の精度と安定性が向上します。ノイズが残ると、形状の歪みや誤差につながります。

3)点群の整理

点群を地面・構造物・植生などに分けて整理します。対象ごとに扱いを分けることで、モデル化や解析がしやすくなります。くみきでは、生成後の点群やオルソ画像をクラウド上で確認しながら整理できます。

4)法線推定

各点の向きを計算し、面の方向情報を与える工程です。この情報が不正確だと、メッシュ生成時に面の裏返りや欠損が起こりやすくなります。

5)メッシュ生成(ポリゴン化)

点群を三角形などの面で結び、立体形状として表現します。この工程を通して、面積計測やシミュレーションが可能になります。くみきでは、重いデータをローカルで処理せず、クラウド上でそのまま扱えます。

6)仕上げ・書き出し

最後に、不要な面の調整や軽量化を行い、用途に応じた形式で書き出します。精度を保ちつつ、どこまで軽量化できるかが実務での使いやすさを左右します。くみきなら、生成したデータをクラウドで共有・活用でき、配布や管理の手間も抑えられます。

3Dモデル化した点群データの活用事例

3Dモデル化した点群データは、「単なるデジタル記録」に留まりません。形状を直感的かつ定量的に把握できる特性を活かし、建設DXの核技術としてさまざまな現場業務で使われています。ここでは代表的な活用シーンを紹介します。

造成前後の地形比較・出来形確認

造成工事において、着工前と完了後の地形を比較することは重要な工程の1つです。点群を3Dモデル化することで、地形の起伏や切土・盛土の変化を立体的に確認でき、平面図や断面図だけでは見えにくい差分も把握しやすくなります。

出来形確認においても、施工後の形状をモデルとして残すことで、記録性の高い資料として扱われます。

工事進捗の共有・施工管理

工事の進捗管理では、「現状の工程がどこまで進んでいるのか」を関係者全員が同じ認識で共有することが極めて重要です。点群データから生成した3Dモデル共有は、この課題の解決に大きな力を発揮します。

点群を3Dモデル化すると、現場全体の状況を俯瞰でき、進捗の度合いや作業範囲を視覚的・数値的に共有できます。現地に足を運ばなくても状況を確認できるため、施工管理や打ち合わせの効率化にもつながります。

実際に、複数の工区を抱える現場や、発注者との情報共有が多い案件で、クラウド上の3Dモデルを使って進捗を確認する取り組みが行われています。常に最新のデータに基づいた打ち合わせが可能になることで、資料作成の手間も大幅に削減されています。

災害発生後の現況把握・記録

災害発生後の現場では、被害状況を速やかに把握し、正確に記録することが求められます。点群を3Dモデル化することで、崩落や地形変状の範囲を立体的に捉え、後から状況を振り返るための記録としても活用できます。時間の経過による変化を比較する際にも有用です。

災害現場において、3Dモデル化は「安全性」と「迅速性」の双方を担保するツールとなります。自治体や林業、インフラ管理の分野では、災害後の現況を3Dモデルとして残し、関係機関で共有する事例が見られます。

参考:お客様インタビュー|くみき(KUMIKI)

点群データを3Dモデル化できるソフト・アプリ

点群データの3Dモデル化には、目的や利用環境に応じてさまざまなソフトやアプリが使われています。ここでは代表的なツールを整理します。まず全体像を把握しやすいよう、簡単な比較表を確認しましょう。

ソフト・アプリ 主な利用形態 特徴の方向性 想定される利用者
くみき(KUMIKI) クラウド 現場共有・管理を重視 建設・土木の実務担当者/管理者・バックオフィス
Pix4D デスクトップ/クラウド 高精度解析 測量・解析専門員
CloudCompare デスクトップ 点群処理・解析 技術検証・研究用途
MeshLab デスクトップ メッシュ編集 形状編集を行う技術者
Blender デスクトップ 3D表現全般 CG・可視化用途

くみき(KUMIKI)

くみきは、点群データや地形データをクラウド上で扱うサービスです。生成した3Dモデルは、発注者や現場監督、関係者とすぐに共有でき、同じデータを見ながら確認や意思疎通を進められます。専用ソフトのインストールを前提とせず、現場単位での情報共有を意識した設計が特徴です。

ドローンで撮影した写真をアップロードするだけで高品質な3Dデータを作成することができます。くみきはクラウドサービスのため、作成した3Dデータはオンライン上で簡単に共有することができます。

建設・土木分野での導入実績が多く、測量後のデータ活用や管理までが一つのソフトで行えるため、スーパーゼネコン、ゼネコン、建設コンサル、インフラ系企業を中心に、従業員10名以下の企業から1,000名以上の企業まで、30業種、累計50,000現場で導入されています。

Pix4D

Pix4Dは、ドローン写真から精密な3Dデータを生成するための高精度解析ツールです。ただし高機能な反面、データの作成過程で一定以上の専門の技量が求められるとともに、処理には高性能なワークステーション(PC)が必要となります。そのため、発注者や現場監督、関係者との共有の流れがスムーズに進みにくいケースが生じる可能性があります。

CloudCompare

CloudCompareは、点群処理に特化したオープンソースソフトです。点群の比較やフィルタ処理、簡易的なメッシュ生成など、技術的な検証作業に向いています。操作には一定の知識が必要ですが、点群データそのものを細かく確認したい場合に利用されています。

MeshLab

MeshLabは、メッシュデータの編集や変換を主な用途とするソフトです。点群から生成したメッシュの修正や確認を行う場面で使われます。研究用途やデータ加工を目的とした利用が多く、操作には専門的な理解が求められます。

Blender

Blenderは、3D表現全般を扱えるソフトで、可視化やプレゼンテーション用途に使われることがあります。点群やメッシュを読み込んで表現を調整できますが、建設測量向けの専用機能を備えたツールではなく用途は限定的です。

【FAQ】点群データを3Dモデル化する際によくある質問

最後に、点群データの3Dモデル化に関連する疑問をまとめて解決します。

点群データを3Dモデル化するのにかかる費用は?

費用は、点群の点数や範囲、求める仕上がりのレベルによって大きく変動します。簡易的な可視化であれば比較的抑えられますが、ノイズ処理や分類、精度を意識したメッシュ化まで行う場合は工数が増えます。

例えば、単純な自動処理だけであれば短時間で済みますが、公共測量の基準に合わせたノイズ処理や、正確な土量計算のための地表面抽出を行う場合は、その分専門技術者の工数が必要になります。

また、自社対応か外注かによっても考え方は変わります。すべてを外注する場合は費用が増大しやすいですが、ソフトを導入して内製化することで、中長期的にはコスト削減が可能なケースも出てきます。

点群データの3Dモデル化におけるAI活用とは

近年は、ノイズ除去や地面・構造物・植生の分類といった工程で、AIは点群処理の「効率化」において不可欠な存在となっています。人手で行っていた作業を補助する役割が中心で、処理時間の短縮や作業負荷の軽減につながっています。

ただし、最終的な確認や用途判断は人が行う前提です。AIはあくまで「作業の効率化」を担いますが、最終的な計算結果の信頼性や、重要な構造物のエッジが正しく再現されているかの最終判断は、依然として技術者の目が重要となります。

点群データを3Dモデル化すれば、そのままCADで使える?

ここがよく誤解されやすい点ですが、3Dモデル化した点群データは形状把握や確認には使いやすくなるものの、設計用のCADデータとは性質が異なります。寸法や設計条件が定義された図形ではないため、そのまま設計作業に使うケースは限られます。目的に応じて、CAD用のデータ作成工程を別途考える必要があります。

くみきは、作成したデータをワンクリックで出力・取り込みすることが可能です。

点群データを現場で活かすなら「くみき」

点群データは、技術として見ると専門的に映りやすい一方、現場では「いかに早く、迷わず使えるか」が重視されます。測量からデータ確認、共有までの流れが滞ると、取得した点群データも十分に活かされません。今すぐ、誰でも、迷わず使えることが最も重要です。

「くみき」は、ドローン測量によって生成した膨大な地形データを、ブラウザ一つで軽快に扱える国産のクラウドサービスです。国産のクラウドサービスとして、これまで多くの建設・土木現場で利用されてきました。累計で5万件を超える現場で地形データが生成され、生成面積は2,000万km²にのぼります。

誰でも簡単に使えるように、細かな設定は不要で画像をアップロードするだけで高品質なデータを作成でき、作成したデータも直感操作で活用・連携が可能なサービスです。

測量からデータ確認までの工程を簡単に内製化できる点も、現場で評価されています。外注費の見直しや作業時間の短縮につながり、業務全体の進め方を考え直すきっかけになるケースも少なくありません。

くみきは高度な知識を前提とせず、今すぐ現場の流れを大きく変えずに導入できることが最大のメリットです。また若手技術者・ベテラン技術者だけではなく、発注者等まで含めた関係者全員が同じ3Dモデルを簡単に共有できることで、スムーズな情報共有と意思決定、工程の確実な進行を実現します。

ドローン測量の導入を検討している方、既存のデータ活用に課題を感じている方は、ぜひ気軽にご相談ください。

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スカイマティクスマーケティングチーム

株式会社スカイマティクスのマーケティングチームです。2016年の創業以来、「リモートセンシングで、新しい社会を創る」というミッションのもと、ドローン・衛星等の様々なデバイスで得られる画像・データを統合し、地理空間情報と時系列情報も含めて処理解析が可能な「時空間解析プラットフォーム」を開発してきました。建設業界向けドローン測量サービス「くみき」をはじめとする各業界専用のDXサービスについて、わかりやすく情報をお届けしています。