2026年4月3日
執筆者:スカイマティクスマーケティングチーム
対象製品:くみき

測量用ドローンとは?
価格やおすすめの機体、選び方について解説

測量用ドローンとは?価格やおすすめの機体、選び方について解説

現場でドローン測量を検討し始めた際に悩みやすいのが機体選定です。

測量用ドローンと一口に言っても、搭載できるカメラやセンサーの種別、飛行性能、対応する測量方式は機体ごとに異なります。価格やカタログスペックだけで判断すると、現場条件や精度要件と噛み合わず、運用に苦労するケースも少なくありません。

この記事ではドローン測量における機体選定にフォーカスし、基本的な考え方から方式の違い、公共測量で求められる要件までを解説していきます。

測量用ドローンとは

「測量用ドローン」と聞くと、専用に設計された特別な機体を想像しがちですが、実際には産業用にカスタマイズされた汎用ドローンを測量用途で使うケースが大半です。

測量向けかどうかを分けるのは機体名ではなく、安定した飛行性能、搭載できるカメラ性能、柔軟な飛行体制の可否、RTK(リアルタイムキネマティック)測位への対応等を含めた運用ができるかどうかです。

現場条件や求める精度に応じて、適した機体タイプを選び考えるのが基本です。

測量用ドローンの種類

測量で使われるドローンは、大きく分けて「マルチコプター型」「固定翼型」「VTOL型」の3つです。それぞれに得意分野があり、用途も異なります。

機体タイプ主な特徴向いている測量シーン
マルチコプター型垂直離着陸ができ、低速・低高度での安定飛行が得意。操作性が高く、狭い場所でも扱いやすい土量計測、造成現場、工事進捗確認、小~中規模の区域
固定翼型翼で揚力を得て飛行するため航続距離が長く、広範囲を効率よく撮影できる山林、河川、インフラ点検などの広域測量
VTOL型垂直離着陸と固定翼飛行の両方に対応。離着陸場所を選びにくく、広域カバーも可能離着陸スペースが限られた広域現場、山間部や長距離測量

現場の地理的制約、要求される作業時間、自社の運用体制、こうした条件を整理した上で機体選定を行うことが、測量用ドローン選定のスタートになります。

ドローン測量の主な測量方式

ドローン測量では、同じ機体を使っても測量方式によって得られる成果や向いている現場が大きく変動してきます。

ここでは、現場で採用されることの多い、写真測量とレーザー測量の違いを解説します。

項目写真測量(sfm)レーザー測量(LiDar)
使用する機器可視光カメラレーザースキャナー
計測の仕組み複数の写真から三次元形状を復元レーザーを照射し反射時間から距離を算出
得意な環境開けた造成地、建設現場、土量計測植生が多い山林、起伏の大きい地形
植物下の地形把握苦手比較的得意
データ量・処理比較的軽く扱いやすいデータ量が多く専門性が高い
機材コスト初期投資を抑制しやすい高額になりやすい

写真測量

写真測量は、ドローンで撮影したオーバーラップ(重なり)を持たせた大量の静止画から地形や構造物の形状を三次元化する手法です。

一般的なカメラを使えるため機材の汎用性が高く、造成現場や土量管理など、建設分野では標準的な工法となっています。

一方で、草木に覆われた地面や陰になりやすい場所では、地表の再現にばらつきが出やすい点には注意が必要です。撮影条件や重なり率の管理が、精度を左右します。

レーザー測量

レーザー測量は、レーザー光を地表に照射し、その反射を捉えて距離を測定します。

最大の特徴は写真測量では困難だった植生下の地形形状を捉えられる点にあります。樹木の隙間を通過したレーザーが地面まで届くため、森林や急斜面でも地形を捉えやすい点が大きな利点です。

その反面、搭載機材やデータ処理の負荷が大きく、導入や運用には一定の知識と体制が求められます。

測量用ドローンの仕組み

測量用ドローンは、大きく分けて以下の流れで成り立っています。

  1. 位置を把握する
  2. データを取得する
  3. データを処理する

それぞれが連動することで、現場の地形を数値として扱える状態まで引き上げます。

まず位置把握です。ドローンはGNSS(全球測位衛星システム)を用いて、自身の位置や高度を記録しながら飛行します。RTKやPPKといった補正方式を組み合わせることで、撮影位置の誤差を抑える運用も行われます。

次にデータ取得です。設定された飛行ルートに従い、カメラやレーザーセンサーで地表を連続的に撮影・計測し、写真や点群データとして蓄積します。

写真測量の場合、くみきは進行方向のオーバーラップ率を85%以上、コース方向のサイドラップ率を75%以上とすることを推奨しています。

最後がデータ処理です。取得したデータを解析し、オルソ画像や三次元モデルへ変換します。ここで初めて、測量や数量算出に使える地形データとして活用できるようになります。

空間データ統合プラットフォーム「くみき」のSfM機能では、撮影したデータをアップロードするだけで、こうした処理を自動化できます。専用ソフトでの細かな設定や高性能なPCを用意しなくても、現場データをスムーズに可視化できる点が特長です。

測量用ドローンの操作方法

ドローン測量の操作は、従来のトータルステーション等を用いた測量と比べ、工程が整理されており、現場作業の標準化が進んでいるのが特徴です。基本の流れは以下のとおりです。

  1. 飛行計画の作成
  2. 自動飛行による撮影・計測
  3. データ回収と確認

まず行うのが飛行計画の作成です。専用のソフトウェアで測量範囲、高度、撮影間隔などを事前に設定し、ドローンが自動で飛行するルートを決めます。この段階で条件を整えておくことで、後のデータ処理が安定しやすくなります。

次に、自動飛行による撮影・計測を行います。

事前に設定した飛行計画に沿ってドローンが自律的に飛行し、計画通りに計測を完遂して自動で戻ってきます。操縦者は飛行状況の監視が中心となり、作業の属人性が抑えられます。

最後に、データ回収と確認です。飛行後にSDカード内の取得データを確認し、欠損や撮り漏れがないかを判断します。問題があれば、その場で再飛行を行える点もドローン測量の利点です。

関連記事:ドローン(UAV)測量のやり方とは?機材・手順・時間・注意点を解説

公共測量で用いる機体(ドローン)に求められる要件・機能

ドローン測量では、取得したデータを安定して再現できることと、飛行中の安全性を確保できることが重要になります。

こうした考え方は、国土地理院が示す「UAVを用いた公共測量マニュアル」にも整理されており、精度や信頼性を意識する測量全般に共通するポイントです。

ここではドローン測量を行ううえで、単に飛行できるだけではなく、機体に必要な要件を紹介していきます。

自律飛行ができること

ドローン測量では、あらかじめ設定した飛行条件どおりに航行できることが前提になります。

自律飛行に対応した機体であれば、飛行高度や速度、撮影間隔を一定に保ったまま計測を進められます。

なお測量用途では、RTK対応など位置情報の扱いが整理されている機体が選ばれやすく、撮影データの再現性を確保しやすくなります。

異常時の自動帰還機能(フェールセーフ)を備えていること

ドローン測量の現場では、電波干渉による通信遮断や急激な温度変化によるバッテリー残量の低下など、想定外の事態が起こる可能性もあります。

そうした状況をシステムが検知した際に、自動で離陸地点(ホームポイント)へ戻るフェールセーフ機能を備えていることで、機体の損失リスクを抑えやすくなります。業務用途を想定した産業用機体では、単なる帰還だけでなく、障害物回避と連動した安全なルート選択が整理されている点も、業務運用における大きな特徴です。

風に耐えられる航行性能を持つこと

屋外で行うドローン測量では、常に安定した気象条件であるとは限らず、上空では地上以上の突風に晒されることも少なくありません。

一定の風速がある状況でも、機体の姿勢制御と高度維持の性能が高いほど、撮影位置や角度の乱れを抑えやすくなります。耐風性能に優れた機体を選ぶことは、結果として、後工程で扱いやすいデータの安定的な取得につながります。

機体の振動・揺れを抑えられること

ドローン測量では、撮影時の振動や揺れがそのままデータ精度に影響します。

高性能のジンバルによる補正機構や、剛性の高い機体構造を採用しているモデルは、飛行中のブレを物理的に相殺し、高精度かつ安定的なデータ取得を確保しやすくなります。

参照:

UAVを用いた公共測量マニュアル|国土交通省地理院

推奨しているドローン機種はありますか?|くみき

測量用ドローンの価格

測量用ドローンの導入費用は、機体本体の価格だけを見ても全体の予算感は把握できません。

実際には、目的に応じたセンサーの選定に加え、データの解析方法や現場の安定運用を支える保守・サポートまで含めて考える必要があります。構成次第で費用感には大きな差が生まれます。

まず、機体本体の価格帯はおおよそ次のとおりです。

機体クラス主な用途・特徴価格帯の目安
エントリークラス写真測量中心、小規模現場100万〜300万円
ミドルクラス安定性・耐風性を重視300万〜600万円
ハイエンドクラス広域対応、固定翼・VTOL型600万円以上

機体価格は、連続飛行時間やペイロード(積載可能重量)、通信途絶時の安全を担保する冗長設計レベルが上がるほど、高額になる傾向があります。

次に重要となるのがセンサーです。写真測量用の可視光カメラは比較的導入しやすく、数十万〜200万円程度が一つの目安になります。一方、レーザー測量に用いるLiDARは構造が複雑で、仕様によっては数百万円から1,000万円を超える場合もあります。どの測量方式を主軸にするかによって、全体の費用感は数倍の開きが生じてきます。

このほか、取得したデータを解析するための専用ソフトウェアのライセンス費用や、万が一の墜落に備えた動産保険、機体の保守・技術サポートといったランニングコストも発生します。写真測量を前提としたクラウド型サービスを使う場合は、専用ソフトや高性能なPCを前提としない最適化した運用も検討できます。

測量用ドローンのメーカー

測量用途で使われるドローンは、メーカーごとに得意分野や思想が異なります。

ここでは、現在日本の測量現場で主要な選択肢となっている測量分野で名前が挙がりやすい主要メーカーを4社紹介します。

メーカー特徴測量分野での位置づけ
DJI操作性と飛行安定性に定評。ハード・ソフト共に製品ラインが豊富。写真測量・レーザー測量のの事実上の標準
ACSL国産メーカー。セキュリティや運用管理の透明性を重視。公共系・インフラ点検分野
Autel Robotics高性能カメラを搭載した産業向け機体を展開機密保持と高画質化に特化した、産業用測量点検機
Skydio多数の魚眼カメラによる高度な空間認識・障害物回避性能に強み橋梁下や森林内など、GNSSが不安定な複雑環境

この中でも、測量用途で最も採用例が多いのがDJIです。

かつてはPhantom 4 RTK等の民生ベース機が主流でしたが、昨今はMavic 3Eの後継であるMatrice 4Eなど、測量業務への完全最適化を謳った機体が主軸となっています。

操作性や情報量の多さから、機体選定に迷った場合は、DJI製品を基準に比較を進めるケースが多いのが実情です。

測量用途では、必ずしも最高スペックの機体が必要になるわけではなく、

「設定した飛行ルートをいかに正確にトレースし、安定した生データを取得できるか」が重要です。その点では、近年の産業向け機体は、自動飛行による撮影条件の均一化が高度に自動化されています。

ここでは、測量現場での実用性を重視し、現在「くみき」で多くのお客様にご利用いただいている「DJI Matrice 4E」を紹介します。

関連記事:ドローン測量におすすめな機体は?スカイマティクス独自調査結果を公開

DJI Matrice 4E

Matrice 4Eは、より業Mavic 3 Enterpriseの正当な後継機として、現在の写真測量現場における「標準機」の座を確立しているモデルです。

自動飛行を前提とした設計により、撮影は個人の感覚に依存せず、事前に設定したルートどおりに進められます。ルート設定も短時間で完了し、現場作業をシンプルに組み立てやすい点が特徴です。また、送信機内で簡易的な3Dモデルを生成できる機能も備えており、現場撤収前の撮り漏れ確認も容易です。

飛行安定性や障害物検知といった基本性能も搭載されており、写真測量を中心とした運用であれば、産業機として十分な性能を備えています。

測量用ドローンを選ぶときの比較ポイント

測量用ドローンの比較ポイント

測量用ドローンは、単にカタログスペックが高ければ安心というものではありません。

採用する測量方式や現場条件、運用体制と噛み合っているかを押さえることで、導入後のミスマッチや無駄なコストを未然に防ぐことができます。

測量方式と精度要件が合っているか

まず検討すべきは、対象とする現場の地表面の状態と、求められる精度水準の関係です。

開けた造成地や出来形管理が中心であればコストパフォーマンスに優れた写真測量で十分なケースも多く、植生が深い山林や起伏の大きい地形ではレーザー測量が検討対象になります。目的に対して必要以上に高精度な構成を選ぶと、コストや運用負荷が増えやすくなります。

現場条件に合った飛行性能・運用性があるか

測量現場の広さや高低差、離着陸スペースの制約によって、最適な機体は大きく変わります。

スペック表上の性能だけではなく、実際の現場で直面する「強風下での安定性」や「現地までの持ち運びやすさ」など、実際の現場を想定したときに無理なく安定的に運用できるかを確認することが大切です。スペック表だけでは見えにくい部分ほど、導入後の差になりやすいポイントです。

精度・運用を説明できる根拠があるか

公共測量やICT施工の現場では、取得したデータの信頼性と作業手順の妥当性を、第三者に対して説明できるかが重要です。

機体のカタログ値だけでなく、機体の測量実績やどのような解析プロセスを得て再現性が担保されているかどうかが判断材料になります。社内や発注者に対して、「この機体と手順なら精度が確保できる」と説明できる状態を意識して選ぶ視点が大切です。

またこうした比較を行う際、機体選定を行う際は、撮影後の「データ処理」までを一連のワークフローとして検討すると、導入後の全体像がより明確になります。

クラウド型ドローン測量サービス「くみき」を使えば、取得データの解析や可視化を一元的に行えるため、機体選定と運用方法を同時に進めやすくなります。

【FAQ】測量用ドローンに関するよくある質問

測量用ドローンを検討する段階では、機体選び以外にも運用面での疑問が出てきます。ここでは、導入前によく聞かれる質問を中心に、要点を押さえて解説します。

測量用ドローンの耐用年数は?

測量用ドローンの耐用年数は、使用頻度や保管環境によって差がありますが、機体としてはおおむね3〜5年程度を一つの目安とするケースが多く見られます。

特にバッテリーやプロペラなどの消耗部品は、機体本体より早いサイクルで交換時期を迎えるため、定期的な点検と更新を前提に考えておきましょう。

測量用ドローンの操作には資格が必要?

ドローンを飛行させるだけであれば、必ずしも国家資格が必須というわけではありません。

ただし、飛行場所や方法によっては、航空法に基づく許可・承認が必要になります。

また2026年現在の実務現場においては、航空法に基づく「二等無人航空機操縦士」等の国家ライセンスを保有していることが、対外的な信頼性や許可申請をスムーズにする上でのスタンダードとなっています。

加えて、測量業務として安定した成果を出すためには、操縦技術だけでなく、測量やデータ処理に関する知識も重要です。資格の有無より、運用体制全体をどう整えるかがポイントです。

測量用ドローンはレンタルできる?

機体やセンサーを含めてレンタルできるサービスは広く普及しています。

高価な機材など自社購入に慎重な判断を要する場合や、短期間の業務や検証目的であれば、購入前にレンタルで試す選択も現実的です。ただし、解析ソフトやサポート範囲はサービスごとに異なるため、事前に確認しておく必要があります。

測量用ドローンの導入で補助金がもらえる?

ドローン測量単体を対象とした補助金は限定的ですが、建設業の生産性向上やICT活用を目的とした施策の一部として支援対象になるケースがあります。

例えば、中小企業のデジタル化を支援するIT導入補助金や、地方自治体が独自に設けているICT機器導入支援金などがその代表例です。

対象や条件は年度や事業ごとに異なるため、最新情報を確認しましょう。

参照:ICT施工に利用できる可能性が高い補助金制度|国土交通省

現場の仕組みを変える空間データ統合プラットフォーム「くみき」

測量用ドローンの導入を検討する中で、機体選びと同じ、あるいはそれ以上に重要となるのが撮影後のデータ処理や運用の組み立てです。

せっかく現場でデータを取得しても、解析作業に手間や時間がかかったり、担当者ごとに手順が異なったりすると、業務全体の効率は上がりにくくなります。

くみきは、こうした後工程を含めて整理するためのサービスです。

ドローンは単に飛ばす道具ではなく、三次元データ取得の手法の一つと捉え、現場でどのような情報を得たいのかという目的に合わせて、適したデータ取得方法と活用の流れを考えます。

くみきを活用すれば、現場で撮影したデータをアップロードするだけで、オルソ画像や三次元点群データ、等高線図・DSMをクラウド上で自動生成できます。高価な解析ソフトやハイスペックなPC環境、そして専門的な操作スキルを必要とせず、誰でもどこからでも現場の最新情報をブラウザ上で共有できる点が最大の特長です。

ドローンの選び方にお悩みの場合も弊社にお任せください。

「どんな機体でどのように撮影すればよいのか、そのデータをどう使用したらよいかがわからない」など、まずはお気軽にご相談ください。

お客様にあったデータの取得方法から活用方法をご案内いたします。

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スカイマティクスマーケティングチーム

株式会社スカイマティクスのマーケティングチームです。2016年の創業以来、「リモートセンシングで、新しい社会を創る」というミッションのもと、ドローン・衛星等の様々なデバイスで得られる画像・データを統合し、地理空間情報と時系列情報も含めて処理解析が可能な「時空間解析プラットフォーム」を開発してきました。建設業界向けドローン測量サービス「くみき」をはじめとする各業界専用のDXサービスについて、わかりやすく情報をお届けしています。