2025年1月29日
執筆者:株式会社スカイマティクス 代表取締役社長 渡邉善太郎

ドローン測量人材のリスキリングが変える、
建設業の未来!

建設業は、長年にわたって多くの課題に直面しています。特に、慢性的な人手不足、作業の効率性の低さ、そして現場での情報管理の煩雑さが大きな問題です。さらに、2024年より労働時間の上限規制も適用され、今後は働き方改革も課題になってきます。

こうした課題を解決するために、最近注目を浴びているのが「DX(デジタルトランスフォーメーション)」です。しかし、DXを進めるためには、それを実現できる人材が必要不可欠です。

ここでは、建設業界の未来を変える人材育成を目的とした「人材のリスキリング」の重要性と、具体的な効果を紹介します。

建設業界の現場と課題

建設業界では、次のような課題が深刻です。

深刻な人手不足と高齢化

少子化に伴う労働人口の減少により様々な業界で人材不足が問題になっています。建設業も例外ではなく、ピーク時の1997年の685万人と比べて約30%減少しており、特に若年層の労働者の減少や高齢化により、建設業の現場では作業員の確保が難しくなっています。2025年には建設業の労働者は約90万人不足するとも予測されています。

時間外労働時間の上限規制の適用

2024年に、これまで猶予されてきた時間外労働時間の上限規制が適用され、法定外労働時間は、原則として「月45時間・年間360時間」までとなり、臨時的・特別な事情がない限りこれを超えることはできなくなりました。これにより、長時間労働が常態化していた建設業においても、働き方改革が必須となります。

低い生産性

慢性的な人手不足に悩まされている結果、仕事量に対して人手が不足していると、1人あたりにかかる時間や負担が大きくなります。結果、コストパフォーマンスが低下し、生産性を下げることになります。さらに、煩雑な手作業や事務作業も生産性の低下の一因となっています。手作業や事務作業が多くなることで工数が増加し生産性が下がってしまいます。

情報共有の困難

依然として現場でのデータ管理が紙ベースで行われることが多く、リアルタイムでの進捗確認や情報共有が難しいという問題があります。労働者不足の解決方法として、外注や外国人労働者が現場を担うことも増加しており、情報共有や工程管理は複雑かつ困難になっています。

これらの課題を解決するためには、テクノロジーの導入とともに、それを活用できる人材の育成が重要です。しかし、デジタル技術を活用できる人材は依然として不足しており、そのためのリスキリングが求められています。


リスキリングの重要性とメリット

リスキリングとは、従業員が新しいスキルを習得し、変化する市場や技術に適応できるようにするプロセスです。近年、急速に進化する技術や市場の変化に対応するために、従業員に求められるスキルも変化しています。従業員のスキルギャップを埋め、従業員が継続的にキャリアアップの向上ができるように、企業が従業員に新たなスキルを提供することがますます重要になっています。
リスキリングを実施することで、企業と個人の双方に以下のようなメリットがあります。


企業にとってのメリット

生産性向上と長時間労働の削減

従業員が新しい技術や知識を身につけることで、業務の生産性が向上し、長時間労働の削減が可能となります。

DX推進と競争力の強化

新たなスキルを習得した人材が、企業のデジタル化とDX推進を支えることで、企業の競争力が向上し、ICT活用工事の受注など他社との差別化を図ることができます。

社員の定着率向上と採用力強化

従業員のスキルアップ向上や長時間労働削減に積極的に取り組む会社として認知され、従業員の離職率低下、定着率向上や採用力強化を図ることができます。



個人にとってのメリット

労働時間の削減と業務の幅の向上

知識とスキルが向上することで、業務を効率的に行うことができ、労働時間を削減することができます。また、新たな知識・スキルの習得は業務の幅の向上にも直結します。

キャリアビジョンの拡大

知識とスキルを習得し、様々なDXツールも使えるようになること、現場でそれらスキルを活用した業務を遂行することで、多様な実績を積むことができ、将来のキャリア開発に役立ちます。

安心できる学習機会の向上

新しい知識やスキルを習得しようと思っても自分で調べて体系立てて学ぶことは困難かつ漏れがないか不安です。会社が用意したカリキュラムを学習することで効率的かつ確実に知識とスキルを習得できます。


リスキリングを企業として進めることは、今後、重要な人事戦略の一つとなり、競争力向上に必須となってくるでしょう。


建設DX推進のための人材育成プログラムの鍵

リスキリングを進めるにあたって重要なことは、今後の建設業界の市場環境の変化や競合他社の動向を踏まえ、会社の経営方針と戦略のもと、強化すべき領域を明確にし、その領域において従業員が習得すべき知識・スキルを明確にすることです。

そして、その知識・スキルの習得にあたっては、従業員の自己学習に任せず、会社としてのカリキュラムを用意することにより、学習の生産性と学習後の業務における生産性のいずれも圧倒的に向上することができます。

皆さんもお使いのエクセルを例にして解説します。

多くの企業で集計や報告書作成などの事務作業のためにエクセルは使われています。
この誰もが使っているエクセルにおいても、知識とスキルを体系的に習得しているか否かで生産性は全く違います。例えば、次の知識とスキルを有していれば、エクセルを使った事務処理のプロになれます。

マクロによる自動化

エクセルマクロを使うことができれば、プログラミングができなくても業務を自動化することができます。繰り返し作業が多い場合、圧倒的に生産性が向上します。

ピボットテーブルによるデータ分析力の向上

ピボットテーブルを使うことができれば、データを任意の形式で分類し、集計することができ、「工事ごとの売上・利益」、「担当ごとの売上・利益」など自分が得たい情報を簡単に得られるようになります。作業を効率化し、分析や意思決定により多くの時間を使えるようになります。

関数による集計・統合作業とグラフ作成作業の効率化

実務で使用頻度が高い関数を習得すれば、データの集計や統合作業を「正確」かつ「早く」行うことができます。データの見せ方に最適なグラフや見やすい色を理解していれば、より「見やすいグラフ」を「早く」作成することができます。


このように、覚えるだけではなく、深く理解し、機能やツールを使いこなすことができれば、その業務のプロになれるわけです。


ドローン測量と点群処理のプロになるために

建設業界の未来は、DXにかかっています。特に、現場での測量や工事管理が効率化されることで、大きな変革が期待されています。その中心を担うのが、ドローン測量と点群処理の技術です。これらの技術を習得すれば、i-Constructionを推進でき、現場でのデータ収集や解析に革命をもたらし、建設業務の生産性を飛躍的に向上させることができます。

ドローン測量や点群処理においても、エクセルと同じように知識・スキルを有しているか否かで全く生産性が異なります。一例を紹介します。

飛行計画の作成の原理

ドローンの飛行計画アプリを使い飛行計画を作成できることも増えてきました。現場においては、ドローンの性能と現場の特性に応じて、目的の精度を満たすための点群データを生成するための最適な飛行計画を簡単に作れるか否かは極めて重要なポイントです。写真測量の基礎から、カメラやドローンの仕組み、精度高いデータを取得するための撮影計画を作成するスキルを習得することは、まさにエクセルのピボットテーブルと同じです。

点群処理のプロセスの原理

点群処理ソフトをお使いの方も増えてきました。精度の高い出来形計測データや地面の点群データを生成するためには、標高変換、不要点の除去、欠損補完、点群密度の変更など専用の点群処理を行う必要があります。他方、これらの原理を理解しないまま作業をすれば、正しいデータを作れないことや過剰に作業時間を要することになります。まさに、効率的に目的の集計やグラフを作るエクセルの関数と同じです。

ドローン測量ソフト・点群処理ソフトの操作スキル

原理を理解した上で徹底的にソフトを操作することが重要です。エクセルでもピボットテーブルや関数を理解した上で、データを用いて実際に作業を繰り返すことで習熟度が高まり、どんどん作業効率が高まります。ドローン測量や点群処理も同じで、実データを用いたソフトを使い、操作スキルを磨く必要があります。


既にドローン測量や点群処理ソフトを活用されている方でも、エクセルのマクロやピボットレベルでドローン測量と点群処理について深く理解し使いこなせるようになることで、ドローン測量のプロ、点群処理のプロになり、競争力を向上することができます。ぜひ、専門的なカリキュラムを受講し、プロを目指しましょう。


ドローン測量のプロ・点群処理のプロの育成には
「くみきトレ」がおすすめ

ドローン測量や点群処理について学び、プロを育成するには、
オンライン型建設DX推進人材育成研修「くみきトレ」がおすすめです。
「くみきトレ」のカリキュラムは、まさにドローン測量と点群処理のプロを育成するために設計されています。このカリキュラムでは、最新のドローン測量技術を学びながら、点群データの処理、そしてその活用方法に至るまで、実務に直結したスキルを提供します。

くみきトレの特徴は、次のように理論・原理の学びと実践的なスキル習得の両方をe-Learning形式でカバーしていることです。

オンライン動画学習プラットフォーム

場所や時間に縛られず、どこからでも、スマホでも動画により受講可能で、業務と並行して効率的に学習できる環境を提供します。

実務対応型カリキュラム

ドローン測量、点群処理など、i-Constructionやドローン測量の現場で即活用できる技術を中心に構成され、実践的な知識とスキルを習得できます。

「くみき」を使った演習

実際に「くみき」や点群処理ソフトを操作し、データの処理や分析を体験できる演習を通じて、より実践的なスキルを身につけることができます。

高評価の実績

先行受講した企業からは「満足度94.9%」という高評価を頂いており、現場で即戦力となる人材を育成するためのプログラムとしての実績があります。

広範な対象者層

専門的な内容をオリジナルの図解と説明で分かりやすく体系立て学べることで、技術職から事務職まで、誰でもドローン測量・点群処理を中心とした建設DX推進に必要な知識とスキルを習得でき、現場対応力と問題解決力を養うことができます。

人材開発助成金の活用

人材開発助成金は、企業が従業員のスキルアップを目的とした研修を実施する際に利用できる助成金です。この助成金を活用することで、企業は「くみきトレ」の研修を導入する際のコストを抑え、社員のスキルアップに投資することができます。
国が進めるリスキリング強化の方針を受けて、今後ますます多くの企業がこの助成金を活用することが予想され、特に、厚生労働省が令和4年~8年度の期間限定の助成金として創設した人材開発支援助成金「事業展開等リスキリング支援コース」を活用し、講座受講後に助成金を申請して審査が通り、助成金交付がされた場合には、中小企業の場合、実質負担25%、大企業の場合、実質負担40%で受講ができます。

助成金を活用することで、企業は従業員のスキルアップにかかるコストを削減し、より多くの社員に研修を受けさせることができることから、今がリスキリングに着手するチャンスと言えるでしょう。

一人1訓練あたり

経費助成率 支給限度額
中小企業 75% 30万円
中小企業以外 60% 20万円

引用 厚生労働省 人材開発支援助成金のご案内

まとめと今後の展望

リスキリングを進め、ドローン測量や点群処理といったデジタル技術を活用できる人材を育成することが、建設業界の未来を支えるカギとなります。「くみきトレ」の研修を通じて、ドローン測量や点群処理の即戦力となる人材を育成することで、企業は業務の効率化と生産性向上を実現でき、DX推進を加速させることができます。

さらに、人材開発助成金を活用すれば、企業はコストを抑えつつ従業員のスキルアップを支援でき、従業員も自分で調べ、不安を持ちながら学ぶ必要がなく、安心して効率的にスキルアップに取り組むことができます。
これからの建設業界の競争力を保つためには、リスキリングとそれを支える研修プログラムが不可欠です。

まずは、「くみきトレ」の研修プログラムを活用し、DX時代の建設業界を支える人材を育成しましょう。