最も生産性向上に寄与した建設ICTツールは「ドローン」
建設DXに関するアンケート調査結果(第1弾)
目次
調査結果の主なポイント 1.建設ICTツールの導入状況 導入率が高いのは「3D CAD等」や「ドローン」 2.生産性向上への寄与度が大きい建設ICTツール、「ドローン」や「3D CAD関連ツール」 3.建設ICTツール導入の成果、「工数削減」、「情報共有」、「コスト削減」、「安全性向上」 4.建設ICTツール普及に必要な業界の取り組み、「使いこなせるまでサポート」や「事例共有」 5.2023年からBIM/CIMに「対応できる」割合、大規模企業 30.1%、小規模企業 3.9% 有識者による解説 調査概要 くみきの概要 取材者候補建設業では人材不足や高齢化が深刻で、建設業の企業が生き残るためには、建設DXなどによる生産性向上や働き方改革が必要不可欠です。このたび、「KUMIKI」ドローン測量・現地管理DXクラウドなどを提供する株式会社スカイマティクスは、建設業の生産性向上のカギとなる建設DXの現状を把握し、課題を明らかにするために、全国の建設業の企業に勤務する1,039名を対象に2022年11月にアンケート調査を行いました。その結果、建設ICTツールの導入状況、導入の成果や、普及に向けた課題などが明らかになりました。本プレスリリースではその集計結果を第1弾として発表します。なお、近日中に第2弾のプレスリリース発表を予定しています。
調査結果の主なポイント
1.建設ICTツールの導入状況
●導入率が高いのは「3D CAD等」40.0%、「ドローン」38.4%。ドローンで取得した地形データを3D CAD等で用いるケースが多いと想定されます。
●小規模企業で建設ICTツールの導入率が低いことが、生産性向上のネックになっていると考えられます。
2.生産性向上への寄与度が大きい建設ICTツール
●最も生産性向上の寄与度が大きいのは「ドローン」23.2%、次いで「3D CAD等」20.9%。
●ドローンで取得した地形データを3D CAD等で活用することで生産性を向上させたケースが多いと考えられます。
3.建設ICTツール導入の成果
●「工数削減」41.2%や「コスト削減」26.1%という費用に関する成果だけでなく、「情報共有」33.2%や「安全性向上」25.8%という費用で表しにくい成果も認識されています。
4.建設ICTツール普及に必要な業界の取り組み、「使いこなせるまでサポート」や「事例共有」
●情報システム部や担当者など支援体制がある割合は、大規模企業は79.6%、小規模企業は17.8%。
●導入支援体制がないことが、小規模企業の建設ICTツール普及のネックになっていると考えられます。
5.2023年からBIM/CIMに「対応できる」割合
●「対応できる」のは、全体で16.2%。大規模企業は30.1%、小規模企業は3.9%。小規模企業の対応の遅れが目立ちます。
今回の調査結果に対し、九州大学大学院工学研究院 都市システム工学講座 教授の馬奈木俊介氏は、 「ドローンはそれほど高額なツールではないため、小規模企業でも導入しやすいツールです。ドローンで地形データを取得し、3D CAD等で3Dデータとして活用することで、様々な応用ができる可能性があります。まずはドローンの普及によって、建設業全体の生産性が向上することが期待できます。」とコメントしています。
1.建設ICTツールの導入状況 導入率が高いのは「3D CAD等」や「ドローン」
Q.あなたの勤務先で導入している建設ICTツールをすべて選んでください。(複数回答)
●導入率が高い建設ICTツールは、全体で1位「3D CAD、3次元データ作成・点群処理ソフト」40.0%、2位「ドローン」38.4%、3位「CADデータのクラウド共有」25.0%。この結果から、ドローンで取得した地形データを3D CAD等で用いてクラウド共有するケースが多いと想定されます。
●企業規模で比較すると、小規模企業は全ツールの導入率が低く、例えば「3D CAD、3次元データ作成・点群処理ソフト」の導入率は、従業員300人以上の大規模企業は54.9%、従業員1人~19人の小規模企業は16.4%で、その導入率は大規模企業の1/3未満です。小規模企業で建設ICTツールの導入率が低いことが、生産性を向上させる上でネックになっていると考えられます。
2.生産性向上への寄与度が大きい建設ICTツール、「ドローン」や「3D CAD関連ツール」
Q.あなたの勤務先で、生産性向上に寄与したと考える建設ICTツールを、寄与度の大きいものから順番に5つまで選んでください。(5つまで回答)
●これまでに導入した建設ICTツールのうち、生産性向上の寄与度が最も大きいツール(寄与度の順番で1番目に挙げられたツール)は「ドローン」23.2%、2番目は「3D CAD、3次元データ作成・点群処理ソフト」20.9%。
●この結果から、ドローンで取得した地形データを3D CAD等で活用することで生産性を向上させたケースが多いと想定されます。
3.建設ICTツール導入の成果、「工数削減」、「情報共有」、「コスト削減」、「安全性向上」
Q.あなたの勤務先で建設ICTツールを活用してどのような成果が生まれましたか。あてはまるものをすべて選んでください。(複数回答)
●最も多く挙げられたのは「工数が減った」41.2%。2番目は「情報が共有されるようになった」33.2%。3番目は「コスト削減になった」26.1%。4番目は「安全性が向上した」25.8%。
●この結果から、工数やコストといった費用に関する成果だけでなく、情報共有や安全性向上など費用で表しにくい成果も認識されていることが示されました。
4.建設ICTツール普及に必要な業界の取り組み、「使いこなせるまでサポート」や「事例共有」
Q.あなたは、建設業界がもっと建設ICTツールを導入して生産性を高めるためには、業界をあげてどのような取り組みが必要だと思いますか。(複数回答)
●最も多い回答は「建設ICTツールを現場で使いこなせるようになるまでサポートする」37.2%。2番目は「建設ICTツールの導入によって生産性を高めた事例を業界で共有する」34.7%。3番目は「建設ICTツール導入に対して補助金を提供する」29.8%。4番目は「実際に評価の高い建設ICTツールの情報を共有する」29.4%。
●特に小規模企業では、全ての社員のICTスキルが高いとは限らず、またICTツール導入を支援する情報システム部署や担当者がいないこともあります。そのため、建設ICTツールを現場で使いこなせるまでサポートすることが求められていると言えます。
5.2023年からBIM/CIMに「対応できる」割合、大規模企業 30.1%、小規模企業 3.9%
Q.国土交通省は2023年度から小規模を除く全ての公共事業にBIM/CIMを原則適用しますが、あなたの勤務先では、2023年度からBIM/CIMに対応できると思いますか。(単一回答)
●「2023年度から対応できると思う」の回答は、全体で16.2%。1人~19人の企業は3.9%。20人~299人の企業は10.9%。300人以上の企業は30.1%。
●特に小規模企業でBIM/CIM対応が遅れていることが分かります。
有識者による解説
馬奈木 俊介 氏(九州大学大学院工学研究院 都市システム工学講座 教授)
本調査結果から、建設業の小規模企業では、建設ICTツールの導入率が全般に低いことが示されました。これが建設業の生産性向上のネックとなっていると考えられます。また、ドローンや3D CAD等の導入率が高いことと、ドローンや3D CAD等の生産性向上の寄与度が高いことも示されました。
ドローンはそれほど高額ではないため、小規模企業でも導入しやすいツールです。ドローンで地形データを取得し、3D CAD等で3Dデータとして活用することで、様々な応用ができる可能性があります。まずはドローンの普及によって、建設業全体の生産性が向上することが期待できます。
なお、私ども九州大学都市研究センターでもドローンに注目しており、2022年9月から、福岡県久山町と株式会社スカイマティクスと3者連携による、ドローンを用いたリモートセンシングの実証を開始しました。ドローンで久山町の土砂災害警戒区域や、町指定森林地帯、旧採石所の地形データを取得して、様々な目的に活用できるかどうかを検証しています。今後、検証結果を発表する予定です。
調査概要
●調査実施日:2022年11月21日~28日
●回答者:インテージ法人パネル「建築・土木系 技術職種」およびインテージ一般モニターに登録されている全国計20,000人にスクリーニング調査を行い、勤務先が測量に携わる会社に勤務している会社役員・管理職・一般職であり、かつ、「測量」「ICT機器・ソフトの選定」「管理職の業務」のいずれかに携わっている人を抽出。1,039人が回答した。
くみきの概要
「KUMIKI」ドローン測量・現地管理DXクラウドでは、ドローン画像をアップロードするだけでオルソ画像や 3D 点群といった地形データを自動で生成できます。また、数クリックだけの直感的な操作で面積・体積・断面等の本格ドローン測量ができ、国産ツールで専任のサポートチームがあります。建設・砕石・産廃・農業業界など、人手不足の解消や技能・知見の伝承に活用が可能です。
▶︎ くみきサイト:https://smx-kumiki.com/
取材者候補 建設DX(ドローン、リモートセンシング)の専門家
「くみき」プロダクトマネージャー
阿部 和博
2014年京都大学経済学部卒業後、大手重工メーカーに入社し、発電プラントの遠隔監視システム導入など、新規プロジェクトの立ち上げを複数担当。
その後、アグリテックベンチャーで海外事業開発を経験し、2020年に株式会社スカイマティクスに参画。プロダクトマネージャーとして「くみき」の事業戦略企画・マーケティング施策立案から、パートナー企業へのソリューション提案、イベント登壇まで、幅広く従事。
会社概要
会社名:株式会社スカイマティクス
本社所在地:東京都中央区日本橋本石町4-2-16 Daiwa日本橋本石町ビル6階
設立日2016年10月18日
事業内容:産業用リモートセンシングサービスの企画・開発・販売
代表者:代表取締役社長 渡邉 善太郎
URL:https://skymatix.co.jp/company/
本プレスリリースのデータの取り扱いについて
調査の詳細やデータ提供についてご希望がありましたらお問い合わせください。本プレスリリースのデータを報道で用いられる場合は出典を「スカイマティクス調べ」と明記の上ご使用ください。報道以外の目的で使用される場合は事前に下記まで問い合わせのうえ許可を得てください。