2023年6月21日

位置の精度を高くしたいときはRTK掲載のドローン!
測位方法やメリットも徹底解説!

ドローンの技術は、日々進歩しています。同時に、我々の生活する上でも、ドローンは身近な存在となりつつあります。例えば、面積や体積を計測する建設現場において、地上で測量機材を設置していた測量は、ドローンを利用することにより、空から簡便かつ迅速に実施できるようになりました。一方で、最近ではドローン測量の「精度」が問われるようになっていることから、RTKを搭載したドローンへの注目が集まっています。この記事では、RTK技術の概要とRTKドローンについて解説します。

ドローンの位置精度は?

ドローン測量において、精度は誰もが気になる観点です。精度を決める一つの要素として、ドローンが写真を撮影する位置の精度があります。位置の精度は、一般には、測量結果と実際の位置とのずれの大きさで評価されます。位置を取得するためには、GNSS測位を用いますが、その方法により、位置の精度が大きく変わります。

一般に普及しているドローンでは、単独測位のセンサーが搭載されていますが、位置の精度は数メートルほどと大きく生じる傾向にあります。そこで、近年では位置の精度が数センチメートルで測位ができるRTK法が注目されています。また、RTK測位を搭載したドローンにより、高い精度でのドローン測量への期待も高まっています。

測位方法の代表例

ドローンでの測位方法として代表的なのは、単独測位とRTK法です。ここでは、それぞれの測位方法の特徴について解説します。

単独測位の場合

単独測位は、1つのGNSS受信機により、複数の衛星からの信号を受信し、測位する仕組みです。ドローンだけでなく、スマートフォンやカーナビなどに導入されている、最も身近な測位手法の一つです。

ちなみに、GNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)とは、地球上のあらゆる位置情報を特定するための衛星システムの総称です。例えば、GPS(アメリカ)、GLONASS(ロシア)、Galileo(ヨーロッパ)、BDS(中国)、QZSS(準天頂衛星、日本)などが挙げられます。

広く浸透しており、使いやすい一方で、単独測位での位置の精度は数メートル生じることがあり、精度が重要とされる建設・土木などの分野では用途に応じて要求される精度を確認し、利用することが求められます。

RTK測位の場合

RTK(Real Time Kinematic)法とは、相対測位(2つ以上のGNSS測位受信機を使用する方法)の一つであり、既に位置(座標)がわかっている「基準局」と、位置を計測したい「移動局」がそれぞれ測位し、その間で情報をリアルタイムでやりとりをする中で、位置のズレを補正する手法です。

相対測位は、単独測位よりも位置の精度を高く測位できます。その中でもRTK法は、少ない作業でかつ高い精度での位置情報が収集でき、また導入しやすいという利点があります。

RTKを搭載したドローンとは?

RTK法はリアルタイムに位置情報を取得でき、また移動しながら位置情報を収束したいドローンとの相性が良いことから、近年ではRTKを搭載したドローンが普及しています。RTKを搭載したドローンでは、正確な自動航行と、高い精度でのドローン測量が可能となります。その精度と効率性から、土地開発や建設現場だけでなく、農業や環境調査など、さまざまな分野や業界で活用されはじめています。

RTK測位を使うには

RTK測位には、「RTK-GNSS」と「ネットワークRTK(VRS)」の2つの手法があります。また、位置情報を配信している「高精度位置情報配信サービス」を利用する方法もあります。

RTK-GNSS自体は、位置情報を配信するわけではありません。
RTK-GNSSを使用する場合、高精度位置情報配信サービスを利用することもありますが、高精度位置情報配信サービスを利用せず、D-RTK2などを使う方法もあります。

RTK-GNSS

RTK-GNSS(Real Time Kinematic - Global Navigation Satellite System)は、基地局と移動局を指定して、それぞれの位置情報を比較し測位する方法です。

【RTK-GNSSの特徴】
●基地局と移動局が互いに接続できる設備が必要
●基地局と移動局が通信できる狭い範囲であれば、都市部や山間部でも使用可能
●基地局の設置と基地局の座標の測量が必要

専用デバイスさえあれば、RTK-GNSSを利用することができ、従来よりもはるかに高い精度の測量が可能となります。ただし基地局が必要であるため、基地局がない現場では、基地局の測量と設置の作業が必要になります。

ネットワーク型RTKーGNSS

ネットワーク型RTK-GNSSは、複数の基地局から仮想基準局(VRS:Virtual Reference Station)を算出し、移動局とリアルタイムに通信することで、位置のズレを補正する測位方法です。補正情報のやりとりは、インターネット回線を用いることから、現場では4G/LTEの通信環境下であれば利用できます。また、仮想の基地局を移動局の近くに生成できるため、基地局の位置に依存せずに測位できます。また、RTK-GNSS測位よりも広範囲での測位が可能となることから、ドローンとの相性は非常に良いです。

【ネットワーク型RTK-GNSS(VRS)の特徴】
●基準局の設置および測量が不要
●仮想基準局(VRS)により、RTK-GNSSよりも広範囲で利用可能
●基地局間の距離が遠くても、測位精度が維持される
●4G/LTEなどのインターネット回線が必要

高精度位置情報配信サービス

高精度位置情報配信サービスとは、電子基準点などの固定局の位置情報や、ネットワーク型RTK-GNSSの補正情報などをインターネットで配信しているサービスです。大手携帯会社などが運営しており、利用契約をすることで誰でも利用できます。測量や建設だけでなく、最近ではロボットの自動操縦や農業でも盛んに導入されているサービスです。

【高精度位置情報配信サービスの特徴】
●インターネットを活用して配信されているサービス
●契約すれば誰でも利用可能。

RTKドローンを使うメリット

RTKドローンを使うメリットは、正確な自動航行が可能になることと、高い精度でのドローン測量が可能となることです。

勿論、従来の単独測位のドローンでも、短時間での効率的な測量や、人が入れない場所での測量は可能です。一方で、RTKドローンを使用することにより、誤差数センチメートルの圧倒的に高い精度でのドローン測量を実現できます。

高い精度は、品質評価が重要視される現場では特に重要です。RTKドローンを利用することで、より効率的かつ短時間で、高い精度でのドローン測量が手に入るでしょう。

RTKドローンの機種

RTK法を利用できるドローンはさまざま発売されていますが、現場の状況や測量の目的に応じて、最適なドローンを選ぶことが大切です。ここでは特に注目すべき3つのRTKドローンをピックアップしてご紹介します。これらの情報を参考に、ニーズに最も適したドローンを選んでください。

Phantom4 RTK

Phantom4 RTKは、前身であるPhantom4 Proを測量専用に進化させたモデルです。このモデルは現在、生産は終了しておりますが、機体がコンパクトでありかつエントリーモデルとしては導入しやすいことから、広く認知されています。

専用の飛行計画アプリ「GS RTK」が標準でインストールされており、飛行ルートを事前に設定することで、簡単に自動航行が可能です。最大飛行時間は約30分です。

Phantom4 RTKにはSDK送信機版も発売されており、こちらを利用すれば、サードパーティー製のアプリケーションへのアクセスも可能です。

Mavic3 Enterprise

Mavic3 Enterpriseは、コンパクトさと使いやすさで注目の最新モデルです。Phantom4 RTKの後継機種であり、小型ながらも高精度なデータ取得が可能です。

カメラは広角レンズを搭載し、センサーは2000万画素の4/3インチCMOSを採用しています。また、インテリジェント低照度モードと組み合わせることで、薄暗い状況下でも性能を大幅に向上させることが可能です。さらに、望遠カメラ(センサーは12万画素の1/2インチCMOS、最大56倍のハイブリッドズーム)も搭載しているため、点検業務などでは特に力を発揮します。最大飛行時間は45分ならびにシャッター間隔は最短0.7秒と、Phantom4RTKよりも大幅に性能が向上したことで、より広い範囲でのドローン測量が可能となりました。

Matrice300 RTK

Phantom4 RTKやMavic3 Enterpriseが小型で一般ユーザーにも扱いやすいのに対し、Matrice 300 RTKは大型でかつ高い機能性と拡張性が特徴で、プロフェッショナルな用途に適しています。

最大飛行時間は55分にも及び、また送信機は外部バッテリーとも連携可能であることから、Mavic3Enterpriseよりも長時間の連続使用が可能です。

送信機は高輝度モニターを搭載しながらも、小型軽量な設計です。また、1台のMatrice300RTKに対して、2台の送信機を用いてドローンを操作することもできます。

ドローン本体は6方向の障害物検知システムを搭載しており、低高度や屋内などでも安定したホバリングや飛行が可能です。カメラは交換可能で、最大3つのペイロードを装着することができ、最大離陸重量は9kgとなっています。

これらの特性により、一度の飛行で多くの情報を収集することが可能となっています。

測量に求められる精度は?

ドローンでの測量を検討する際は、求められる精度を把握しておくことが重要です。この要求精度をもとに測量方法や使用するドローン等を検討しましょう。

UAVを用いた公共測量マニュアル(案)

「UAVを用いた公共測量マニュアル(案)」は、無人航空機(UAV)で撮影した空中写真を用いて測量を行う場合における、精度確保のための基準や作業手順等を定めたものです。例えば、以下のような測量のさまざまな段階での基準が細かく決められています。

1.出来形管理
構造物が発注の規格基準を満たしているかどうかを管理する出来形管理では、精度は±5cm以内であることが求められます。

2.起工測量
工事の施工前に行う起工測量では、精度は±10cm以内であることが求められます。

3.写真の重複度に関する指標
写真測量では、空中写真を用いて地形や建物の測量を行います。画像の重複度が精度に影響するため、これらの基準が示されています。

4.データ整備の基準
測量データは、全数点検や加工が行われた上で提供されることが一般的です。データの品質が確保されるようになっています。

公共工事に求められる精度

公共工事における測量では、「空中写真測量(無人航空機)を用いた出来形管理要領(土工編)(案)」という基準が設けられています。これは、国土交通省の国土地理院が公共工事について示したガイドラインです。これによると、出来形管理では精度が±5cm以内、起工測量では±10cm以内の精度が求められています。

なお、求められる精度は、プロジェクトの規模や用途によって異なることもあります。

民間工事に求められる精度

民間工事では、プロジェクトの規模や用途により求められる測量精度は変動します。公共工事と同じような厳格な基準が設定されることも、珍しくありません。プロジェクトの詳細によっては、誤差が±5cm未満という高い精度が必要とされる場合もあります。一般的な単独測位のドローンによる測量だけでは精度要求を満たすことが難しい場合、より高精度なRTKドローンによる測量がおすすめです。

RTKドローンでより高精度に、ドローン測量「くみき」を

測量には、専門的な知識や導入のコストがかかります。そこでおすすめなのが、RTKドローンで撮影をして「くみき」をご利用いただくことです。「くみき」は、ドローン測量から現場の動画や画像データを一括管理できるクラウド型のドローン測量サービスです。
「くみき」の特徴やサービス内容は、下記の通りです。

●効率的な作業
RTKドローンで撮影したデータも自動で処理します。大規模なプロジェクトでも、短期間で測量が可能です。コスト削減やスケジュールの短縮を実現できます。

●複数現場でも対応可能
クラウド型なので、複数の現場のデータも各現場からデータをアップロードし同時に処理できます。離れた本社・支社・事務所からでも生成したデータをインターネット上で確認できます。

●専門スタッフによるサポート
「くみき」では、経験豊富な専門スタッフが、測量プロジェクトをサポートします。これにより、安心して測量業務を任せることができます。

「くみき」を導入することで、大きなコストをかけることなく測量ができます。そして撮影に最先端のRTKドローンを用いることで、誤差条件が数cm以内という高い精度が求められるプロジェクトにも対応可能です。

まとめ

RTK測位は、従来のGPSなどのGNSS測位より精度の高い測量手法として、注目されています。RTKを搭載したRTKドローンは、従来の手法よりも安全かつ迅速に高精度な測量を行うことができます。そのため、広範囲の地域を高精度に測量したい場合や、短時間での測量が求められる場合に非常に有用です。RTKドローンを用いることで、高い位置精度での空中写真が撮影できるようになります。

ドローン測量サービス「くみき」は、その高い位置精度の空中写真から、クラウド上にて自動でオルソ画像と三次元点群を生成します。

RTKドローンと「くみき」の併用により、高い精度でのドローン測量をぜひご検討ください。