2023年3月15日

ドローンを飛ばすのに必要な許可を簡単解説!
機体登録や飛行申請について
しっかり理解してドローンを飛ばそう!

ドローンは、どこでも自由に飛行させられるわけではありません。多くの場合は、事前に許可や承諾が必要となります。この記事では、飛行許可申請が必要になるケースや申請の方法、申請先についてご紹介します。また、飛行許可申請以外にも飛行の承諾や通報が必要となるケースもあるので、あわせて理解し、安全にドローンを飛行させられるようにしましょう。

ドローンを飛ばすときに飛行申請が絶対に必要?

ドローンを飛ばすためには、法律に則って登録や申請が必要です。関わりのある法律や手続きが多くて難しいと感じる方もいるかもしれませんが、次の3つを順番に確認していきましょう。

●機体登録
●航空法
●小型無人機等飛行禁止法

機体登録は購入後すぐに!

航空法が改正され、2022年6月から屋外で飛行する場合はドローンの機体登録が必要になりました。一部の例外を除いて、機体登録がされていないドローンは屋外での飛行ができないので、機体を購入したらすぐに登録を行いましょう。

登録が不要なのは、下記の場合です。

●屋内のみで飛行する場合
●機体重量が100g未満の場合(本体+バッテリーの重量)
●飛行試験の届出済みなど航空法第131条の4のただし書きで登録免除されている場合

登録はオンラインの他、郵送でも可能で、有効期限は3年で期限が過ぎると更新手続きが必要です。登録料は登録機数や申請方法により異なり、1機につき890円〜2,400円かかります。

機体登録を行ったあとは以下の2つを行うことが義務付けられています。

●機体に機体登録番号を表示すること
●リモートID機器の搭載

機体登録を行うと、機体ごとに登録記号が割り当てられます。その登録記号をドローンの機体に直接記載・貼り付けなどして、機体に表示することが義務付けられています。

またリモートID機器を搭載し、BluetoothやWi-Fiを通じて、離れた場所から機体の情報を確認できるようにすることも義務付けられています。

<リモートIDを通じて確認できる内容>
●機体登録をしたときに発行される登録記号
●メーカーの製造番号
●位置情報
●時刻
●認証情報

<リモートID機器を使って情報を確認できる人の一例>
●警察官
●重要施設関係者
●航空局

リモートID機器を内蔵している製品があるほか、外付けタイプを購入し搭載する方法もあります。

航空法

機体登録が済んだら、航空法の特定飛行に該当する飛行にあたるかどうかチェックします。下記から、確認するべきポイントを解説します。

特定飛行に該当する飛行

特定飛行に該当するかどうかは、飛行する空域と飛行の方法をそれぞれチェックして判断します。以下に当てはまる場合は飛行許可の取得が必要ですので事前に申請しましょう。多くのドローン測量の現場においては、申請が不要なケースが多いものの、許可や承認なくドローンを飛行させた場合は懲役や罰金が課せられますので、予めチェックしておくことが重要です。

●飛行空域
○空港等設備周辺の飛行
○高度150m以上の飛行
○人口集中地区(DID)での飛行
○緊急用務空域

●飛行方法
○夜間飛行
○機体を目視できる範囲外での飛行
○対物・対人30m未満での飛行
○イベント上空飛行
○危険物輸送・物件投下

特定飛行に該当しない飛行空域

「高度150m以上の上空」、「空港等の周辺」および「人口集中(DID)地区の上空」で飛行するためには、飛行許可が必要ですので、事前に申請しましょう。これらの空域は、国土地理院地図などで確認できます。

「緊急用務空域」とは、災害時などにその都度指定されるエリアです。捜索や援助、消火活動のためにヘリコプター等の飛行が想定されるので、ドローン等の飛行が制限されています。緊急用務空域では、飛行許可申請により許可や承認があったとしても飛行はできません。

ドローンを飛ばす前に必ず緊急用務空域が設定されていないか下記サイトで確認しましょう。

https://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk10_000003.html

特定飛行に該当する飛行方法

「夜間」とは、日没後から日の出前を指します。時刻は、「国立天文台が発表する日の出や日の入りの時刻」で、地域によって異なる点で注意が必要です。

「目視」の範囲は、双眼鏡やモニターを使わず操縦者が確認できるかどうかで判断します。操縦者のコンタクトレンズや眼鏡の着用は認められますが、補助者による監視は目視にあたりません。

「人や建物、車などと30m以上の距離を保てない場合」も、特定飛行にあたります。また、「催し場所上空の飛行」が制限されるのは、イベント会場の開場から閉場までです。

輸送が禁止されている危険物には、次のようなものがあてはまります。
●ナイフなどの凶器
●毒物類など他人に危害を与えるもの
●他の物件を破損する恐れのあるもの
●引火性液体や火薬類など爆発性又は易燃性のあるもの

水の散布は「物件の投下」に、農薬の散布は「物件の投下」かつ「危険物の輸送」に当たります。ただし、計測機器などを取り付ける場合は、投下になりません。ドローンを使ってどのようなことをするのかによっても、飛行許可申請が必要かどうかが変わります。

小型無人機等飛行禁止法

ドローンの飛行には、小型無人機等飛行禁止法も関わります。なお、小型無人機等飛行禁止法の正式名称は「​​重要施設の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律」と言います。

先に紹介した航空法との違いは、100g未満のドローンや、特定飛行にあたらない低空の飛行にも適用される点です。

小型無人機等飛行禁止法は、国が指定した施設周辺の上空の飛行を禁止する法律です。ドローンの他にも、ラジコンなどの無線操縦装置やハンググライダー、パラグライダーがこの法律の対象となり、「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」という罰則があります。

飛行禁止場所

飛行禁止場所は、次の通りです。

●国が指定する重要施設とその周辺
●対象施設の地域又は区域及びその周辺おおむね300mの地域上空

地域は番地単位で指定されているので、対象施設の敷地と300m以上離れていても、飛行禁止区域内になる恐れがあるため、注意が必要です。

対象施設

国が指定する重要施設には次のようなものがあります。

●国会議事堂
●総理官邸
●最高裁判所
●皇居
●対象の政党事務所
●外務大臣が指定した外国公館
●対象の原子力事業所
●対象の空港

飛行前にこのような施設が近隣にないかを必ず確認します。国際会議が開かれるなど、期間限定で飛行禁止場所に指定されることもあるので、飛行日や飛行区間が決まったら警察庁・各都道府県警察のサイトで確認しましょう。

飛行禁止の例外

次のような場合は、小型無人機等飛行禁止法の対象外となります。飛行の48時間前までに、管轄の警察署を経由して公安委員会に所定の通報書を提出し、通報することで、飛行が可能です。

●対象施設の管理者が同意している
●土地の所有者もしくはその同意を得たものが該当の土地の上空を飛行をさせる
●国又は地方公共団体の業務で飛行させる

施設や土地の所有者が飛行に同意していれば飛行が可能です。忘れずに通報書を提出しましょう。

飛行申請許可証とは

航空法の特定飛行にあたる場所や方法で飛行する場合は、飛行許可申請をし許可証を取得しましょう。申請方法や申請先など詳しくご紹介します。

無人航空機の飛行申請方法について

無人航空機を飛行させる場合には先に紹介した通り以下の1〜3が必要ですが、実際に飛行させる場合は飛行経路の管理者に飛行の承諾を得る必要もあります。

1.機体登録
2.航空法に関する飛行許可申請
3.小型無人機等飛行禁止法に関する通報
4.飛行経路の管理者に飛行の承諾

ドローンの飛行許可申請を取得しただけでは飛ばせない場合もあります。

上記の手順で進める理由としては、飛行経路の管理者から承諾を得る際に航空法上の飛行許可証があるか問われることがあるためです。

申請の種類

航空法に関する飛行許可申請の種類は3つあります。

●個別申請……一回限り有効。飛行日と飛行経路を明らかにして申請
●包括申請……飛行日または飛行経路の一方を明らかにして申請
●一括申請……同一の申請者による複数回の飛行を一括で申請

個別申請は、飛行日と飛行経路を明らかにして申請を行います。許可されるのは申請した1回限りで、必要に応じて飛行の都度申請します。

日にちや経路が明確なので審査がスムーズで許可が下りやすいのが特徴ですが、日にちや経路を申請しているので当日の天候など状況に合わせた変更ができません。

包括申請は同一の申請者が一定期間内に何度もドローンを飛行させたい場合の申請方法です。飛行範囲をおおまかに指定して申請することで最長1年間、飛行経路を細かく指定することなくドローンを飛行させられます。飛行範囲は「県内」「日本全国」などとすることも可能です。包括申請が可能なのは、業務目的の飛行のみで趣味で飛ばしたい場合は個別申請をする必要があります。

また次のような状況で飛行させたい場合は包括申請が利用できないため、個別申請が必要です。

包括申請ができないケース
●空港周辺の空域を飛行
●上空150m以上を飛行
●人口集中地区の夜間飛行
●夜間の目視外飛行
●補助者を配置しない目視外飛行
●イベント上空での飛行

一括申請は飛行日、飛行経路が明確な複数回の個別申請を一括で行う方法です。申請者は同一である必要がありますが、複数回飛行させる予定がある場合は、個別申請を複数回申請するよりも一括申請の方が便利でしょう。

提出期限について

航空法の特定飛行にあたる場所や方法で飛行する場合は、飛行開始予定の10開庁日までに申請種類を提出します。審査に時間がかかる場合や書類に不備があり再提出などが必要なこともあります。国土交通省のホームページでは余裕を持って飛行予定日の3〜4週間前に申請するようにと記載しています。

また、先に紹介したとおり小型無人機等飛行禁止法では飛行の48時間前までに書類を提出するなど、提出先や必要な許可によって提出期限が異なります。ドローンの飛行は余裕を持って計画し、計画が決まり次第なるべく早く申請するのが良いでしょう。

申請方法について

飛行許可申請の提出方法には次の3つがあります。

●オンライン
●郵送
●窓口へ持参

オンラインサービスを利用するか、紙の書類を提出するかを選びます。国土交通省のホームページでは原則としてオンラインで申請するように案内されています。

紙の書類を使う場合は国土交通省のホームページに申請書があります。郵送で提出する場合は書類が届いたことを確認できる簡易書留などで送ります。

紙の種類で提出する場合で、許可証の郵送を希望する場合は切手を貼った返信用封筒を同封します。

紙の書類を使った申請方法では、許可証郵送のための時間も必要になるので早めに申請します。

オンラインでの飛行許可申請は郵送よりも時間と手間がかからない点がメリットです。「DIPS(ドローン情報基盤システム)」というシステムを使用しWeb上で書類の作成と申請書の提出を行えます。

飛行申請の書類

飛行申請に使う書類と記載する内容について解説します。

●無人航空機の飛行に関する許可・申請書……誰が、どのように飛行したいと考えているのか
●無人航空機の機能・性能に関する基準適合確認書……ドローンの性能が基準に適合しているか
●無人航空機を飛行させる者に関する飛行経歴・知識・能力確認書……飛行させる人は誰か、操縦者の飛行経歴や知識、能力を確認
●飛行経路の地図……地図に飛行経路を書き込む
●無人航空機の製造者、名称、重量等……ドローンの設計図や写真(既製品の場合は省略可)
●無人航空機の運用限界……最高速度や最大使用時間を記載(既製品の場合は省略可)
●無人航空機の追加基準への適合性……視認のしやすさに工夫しているかなど基準への適合性を記載
●無人航空機を飛行させる者一覧……ドローン操縦者の情報の一覧
●許可等が必要な内容に応じた追加基準への適合性を示した資料……ドローン操縦者の操縦経験情報を記載
●飛行マニュアル

項目が多く揃えられないと感じる方もおられるかもしれませんが、国土交通省のホームページにフォーマットが揃っていますし、Word形式なので手書きではなく打ち込んで使用することも可能です。

DIPSを使ったオンライン申請では、飛行マニュアル等一部の書類を除いて全て入力するだけで作成可能です。

飛行マニュアルについては後述します。

申請先について

航空法に関わる飛行許可申請の提出先は、国土交通省です。また、小型無人機等飛行禁止法に関する通報は、警察署を通じて公安委員会に届けを出します。

管理者の承諾を得る際の方法は、手続きが定まっていないケースがほとんどで、申請先もさまざまです。下記に一例を紹介します。

●山
○国有林……森林管理署
○公有林……自治体などに問い合わせ
○私有林……所有者

●公園
○自然公園(国立公園、国定公園など)……国立公園管理官事務所、自然保護官事務所など
○都市公園(一般的な公園)……各自治体

●道路
○道路上で離着陸……管轄の警察に相談し、道路使用許可申請など

●海上……管轄の海上保安庁

ドローンの飛行の申請方法や手続きが定まっておらず、管理者に確認してみないとわからないことも多いです。のちのトラブルを未然に防ぐためにも、飛行経路にある管理者に一度連絡をしてみましょう。

空港等周辺及び150m以上の空域を飛行する場合

空港周辺や150m以上の空域を飛行する場合は、空港設置管理者や空域を管轄する関係機関と調整した後に、管轄の「空港事務所」へ申請書を提出します。

管轄のエリアや連絡先はこちらのページから確認できます。
参照:国土交通省|地方航空局及び空港事務所の連絡先等一覧

飛行マニュアル

航空法の飛行許可申請を提出する際には、飛行マニュアルを作成します。飛行マニュアルとは安全にドローンを飛行させるために遵守することをまとめたものです。許可証には「飛行マニュアルを遵守して飛行される」と記載されるため、飛行マニュアルに従っていない飛行は航空法違反になります。

航空局標準マニュアル6種類

平成28年7月、国土交通省が「航空局標準マニュアル」を公開しました。これを利用することで、全てを自作する必要がなく、一部の省略が可能です。

航空局標準マニュアルには6種類あります。

●航空局標準マニュアル01……個別申請で使える
●航空局標準マニュアル02……包括申請で使える
●航空局標準マニュアル01(インフラ点検)……インフラ点検を飛行目的とした場合の個別申請で使える
●航空局標準マニュアル02(インフラ点検)……インフラ点検を飛行目的とした場合の包括申請で使える
●航空局標準マニュアル(空中散布)……農薬散布を飛行目的とした場合の個別申請、包括申請で使える
●航空局標準マニュアル(研究開発)……ドローンやプロポの研究開発を飛行目的とした場合の個別申請で使える

頻繁に申請がある使用シーンに限定したマニュアルもあり、それぞれのマニュアルを元に自分の飛行スタイルに合わせて修正しながら作成します。

国土交通省航空局標準マニュアル02(包括申請用)の解説

こちらでは、「航空局標準マニュアル02」の特徴について解説します。航空局標準マニュアル02は全ての標準マニュアルの元となっているもので、使用頻度が高いです。しかし、航空局標準マニュアル02を用いても、ドローンを飛ばせない場所や方法、状況もあるため、用途に合わせてマニュアルを修正する必要があります。

<ドローンを飛ばせない場所>
●補助者なしの場合
○第三者の往来が多い場所、病院、学校、神社仏閣、観光施設
○高圧線、変電所、電波塔、無線施設 
●高速道路、交通量の多い一般道、鉄道上空

このような場所を飛行させる場合は、独自の飛行マニュアルを作成する必要があります。また、独自の飛行マニュアルにおいても補助者の増員などが必要になるケースもあります。

<ドローンを飛ばせない飛行方法・状況>
1.風速5m/s以上のとき
2.風速5m/s以上の突風が発生したとき
3.夜間飛行で飛行高度と同じ距離の半径内に第三者が存在するとき
4.人口集中地区での夜間飛行
5.補助者なしで人口集中地区を目視外飛行
6.夜間の目視外飛行
7.人や物件との距離が30m以上確保できない場所で離着陸
8.雨が降っている、雨が降りそうなとき

3.の「飛行高度と同じ距離の半径」ですが、たとえば飛行高度が100mのとき、100m以内に第三者が存在するときは、夜間は飛ばせません。

また、航空局標準マニュアルを使う場合、航空法の飛行許可申請によって30m未満の接近飛行に承認を得ていても、ドローンの離着陸時には人や物件との距離を30m以上確保しなくてはいけません。

このような状況においてドローンを飛行させたい場合は、航空局標準マニュアルを元に修正しながら、独自の飛行マニュアルを作成する必要があります。

スカイマティクスに空撮代行

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まとめ

屋外でドローンを飛行させる際には、飛行許可申請が必要になるケースがほとんどです。また、飛行許可申請だけでなく、機体登録や小型無人機等飛行禁止法に関わる通報、飛行地域の管理者による承諾なども必要になります。

ドローンの飛行が増えてきたこともあり、申請書のフォーマットや飛行マニュアルの標準例なども用意されています。「飛行させたい方法や状況では、どのような申請が必要になるのか」を理解して手続きを進め、法令を遵守した飛行ができるようにしましょう。

飛行許可の取得では、書類の不備による再提出などが必要になるケースもあります。余裕をもって、飛行予定日の3〜4週間前には飛行許可申請を提出するようにしてください。

初回で不安がある場合などには、代行を依頼して飛行許可申請について任せましょう。